水野貴之【第2回】幸福発達モデルで従業員の意識構造がわかる – 企業を成長させるマネジメントのカギは「従業員の幸福」 – [特集]はたらくをたのしむ

水野貴之

企業を成長させるマネジメントのカギは「従業員の幸福」
[特集]はたらくをたのしむ

「従業員の段階の違いを踏まえた指導や情報伝達のやり方を考える必要がある」

これまで、企業のマネジメントにおいて「従業員の幸福」について積極的に目が向けられることはあまりなかった。しかし、従業員の幸福が企業の持続性・生産性の向上につながるとしたら、これ以上楽観視はできないはずだ。従業員の幸福度や心の成長を定量的に評価する手法を開発した、『一般社団法人ユーダイモニア研究所』代表理事の水野貴之氏に話をうかがった。

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(※本記事は、2019年7月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

水野貴之(みずの・たかゆき)

思想家、発明家。
一般社団法人ユーダイモニア研究所代表理事、株式会社eumo取締役、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科客員研究員。ネットエイジ社長室室長・執行役員、三井物産、TBS顧問、東南アジアや中東、欧州のプライベートエクイティ、ファミリーオフィス、ヤフー社長付・会長付を経て現職。企業のステークホルダーバランスを可視化する新経営指標CRV(Corporate Resonant Value)や、人間の幸福度や成人発達段階を可視化・定量化するeumoグラムを発明した。

幸福発達モデルで従業員の意識構造がわかる

成人発達とウェルビーイングの統合モデル 発達心理学とポジティブ心理学を統合した幸福発達モデルを独自開発 成人の発達段階を10 段階に分類し、それぞれの意識構造の適職、教育、発達支援法を明示した

水野氏は、前述した三つの幸せと成人発達段階を統合し、幸福発達モデルを(上図)構築することに成功した。具体的には、精神的な発達の度合いを10段階(2B~6A)に分類し、それぞれの意識構造や適職、支援法などを明らかにした。前述のeumoグラムにより、被験者が幸福発達モデルのどの段階に当てはまるか診断することができる。

「一番左の2Bは『本能思考型』で、他者に対して”使える/使えない”といった利己的・短絡的な評価を下しがちです。一般的な企業人に多いのは3B~3Aで、組織に帰属・貢献することに喜びを感じ、他人に迷惑をかけないようにすることを行動規範の一つとしています。組織でマネジャーや管理職を務める人は4B~4Aが多く、自らの基準をもって物事を判断する傾向が強くなります」

勘違いしてはならないのは、幸福発達モデルは人材の良し悪しを判断するものではないということだ。人間はそれぞれ異なる意識構造を持ち、その人なりの幸せを追求しているということを理解するためのツールなのだ。

では、企業という組織のなかで人を動かすとき、なにを意識すればよいのだろうか。

「まずは各従業員が幸福発達モデルのどの段階にいるかを知り、それに沿った幸せを支援することを考えてみましょう。たとえば、3B~3Aの人は、振られた仕事を全力でやり切って組織から評価されることに満足感を覚えます。一方、4B~4Aの人は”オリジナルの物差し”を持っているので、命令に従わせるだけではやる気が出ません。また、4Aの段階になると、自社の利益だけでなく社会的な意義や貢献も重視する傾向があり、売上アップといった単純な目標には魅力を感じにくいといえます」

また、幸福発達モデルの大きな特徴としてあげられるのが「自分より高次の段階のことは理解できない」ということだ。そのため、4Aの経営者が経営方針を熱く語っても、2B~4Bの従業員にはまるで響かないということが起こる。

従業員の発達段階は一様ではなく、それぞれに合わせた指導や情報伝達であるべき

「従来は、社内外での教育などを通して、経営方針などの情報を上から一律にシャワーのように浴びせかけ、従業員に浸透させようとしてきたのではないでしょうか。こうしたやり方は効率的であるように見えて、実は非効率的なのです」

遠回りで手間がかかるように思えても、従業員の段階の違いを踏まえた指導や情報伝達のやり方を考える必要があるだろう。

従業員の個性を生かす「虹色の組織」をめざそう

もう一つ、組織作りのうえで重要な視点があるという。それは”虹色の組織”をつくることだ。

「幸福発達モデルの図を見ると、各段階を色分けしているのがわかるでしょう。私は、組織全体としてさまざまな段階の従業員が存在し、虹色のようにカラフルな様相を呈していることが最高の状態だと考えています。多様な意識構造の人間が集まれば、必ず摩擦が起こります。しかし、それを乗り越えることによってこそ、人間は成長できるからです」

虹色の組織は成長するパワーを内包し、組織としてのサステナビリティ(持続性)も高い傾向があるという。しかし、異なる意識構造の従業員が一緒に仕事をするとき、摩擦を乗り越えられるとは限らず、スムーズに物事が運ばないようにも思えるが、どうなのだろうか。

「それを解決するのがマネジメントの仕事です。同じような段階の人だけを集めれば業績が良くなるかというと、そうとは限りません。たとえば、3Aの部長が上手に仕事を丸投げすることで、4Aや4Bの部下が光り輝くということはよくあります。こうしたことは、組織の面白いところでもありますね」

どんな発達段階の従業員も、組み合わせ次第でいくらでも生きてくる

人間は社会性の生き物だからこそ、マッチング次第で生かすも殺すもできるというわけだ。幸福発達モデルを利用した組織作りは、すでにJT(日本たばこ産業株式会社)など一部の企業で導入されている。従業員の幸福と成長の関係性に注目したマネジメントは、今後の企業経営において一般的になっていくのかもしれない。

水野貴之 – 企業を成長させるマネジメントのカギは「従業員の幸福」
[特集]はたらくをたのしむ(了)

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