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須田正己【第2回】魅力を出すにはサプライズと潜在意識に訴えることが必要 – 魂を込めて描くからキャラに魅力が宿る – [特集]惹きつける人

須田 正己

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2019年09月09日

魂を込めて描くからキャラに魅力が宿る - [特集]惹きつける人

「魅力的な絵を描くには、注目を集めるための仕掛けが必要なのです」

数多くのアニメ作品で作画監督・原画・動画・キャラクターデザインなどを手がけてきた須田正己氏。彼は、魅力的なキャラクターを描いてヒット作を生み出す「伝説のアニメーター」だ。たくさんの人を惹きつけ、世界中から愛されるキャラクターを生み出す秘けつとは何か。そして、それらに共通するのはどんな要素なのか、語っていただいた。

白谷輝英 ≫ 文 波多野 匠 ≫ 写真

(※本記事は、2018年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

須田正己(すだ・まさみ)

アニメーター/キャラクターデザイナー
1943年、埼玉県生まれ。Aプロダクションで研修を受け、タマ・プロダクションを経てフリーとなる。その後、タツノコプロダクションの吉田竜夫社長に認められて数々の作品に参加。さらに東映アニメに移って、「北斗の拳」「スラムダンク」そして最近の「妖怪ウォッチ」などヒット作品の作画監督・原画・動画・キャラクターデザインなどを務める。1991年には、日本工学院八王子専門学校のアニメーション課設立に参加。講師や講演を行う機会も多い。受賞歴は、イタリア・フィレンツェで開催される映像アーティストに贈られる「NEMOLANDLEGEND AWARD賞」や、今年の日本動画協会功労賞など。

魅力を出すにはサプライズと潜在意識に訴えることが必要

須田氏は魅力的なキャラクターを生み出すため、心がけていることが3つある。

1つ目は、常にサプライズを提供することだ。例えば、ポール・マッカートニーのリトグラフでは3枚のラフを描いたが、うち1枚はポールを女性の姿で描いたそうだ。

「普通の絵を描いても、人の心はつかめません。まして、ポールの肖像画はこれまでに何万枚も描かれているはず。魅力的な絵を描くには、注目を集めるための仕掛けが必要なのです。そこで、新しい切り口として『女性として描いたポール』を提案しました。さすがにこれは無理でしたが…(笑)」

こうした例は、他にもたくさんある。下に掲載しているのは、侍が馬にまたがってロデオをしている絵だ。

「戦国侍」のイラスト。日本の侍がロデオしているという意外性、侍に憧れる潜在意識へのアピール、躍動感のある構図など、魅力を生むための要素が全て盛りこまれている。

「馬に乗る侍をただ美しく描いてもつまらないでしょう。それより、暴れ馬のロデオと侍を融合させると躍動感が出る。そして何より、意外性があって魅力的です。相手を驚かせる。あるいは、違和感を与えて興味をひく。それは、魅力的なキャラクターづくりに欠かせない条件と言えるかもしれませんね」

須田氏が新たに生み出した「天ノ邪鬼(あまのじゃき)」。京都の東寺で見た、邪鬼(仁王像や四天王像などに踏まれる小鬼)をモチーフにした、気持ち悪くてかわいいキャラクターだ。

魅力的なキャラクターを生み出す2つ目の秘密は、人々の潜在意識に訴えかけること。

「アニメ版のケンシロウが人気になったのは、『強い男になりたい』という男性の憧れを表現できたからだと思います。そのために、迫力や重量感がある絵柄を、試行錯誤しながら創り出しました。反対に、『タイムボカンシリーズ』の敵役であるドロンジョは、女性の『色っぽくなりたい』という願望を具現化しています」

女性を美しく描きたい場合、普通は胴を短く、足を長く描きがちだ。ところが、ドロンジョは他のキャラクターより胴長。ここに、須田氏ならではの技が盛りこまれている。

「女性らしさを演出するには、ウエストからヒップにかけての曲線美を際立たせるのが効果的です。ところが、胴が短いと優雅な曲線を表現しきれず、色気が失われて子どもっぽくなってしまいます。そこで色っぽい女性をデザインするときは、あえて胴長に描いて曲線部分を長くとるようにしているのです」

そして3つ目に心がけているのが、動きのある構図づくり。これは、須田氏のキャリアからすれば、当然のことかもしれない。

「アニメの世界で何十年も働いてきましたから、絵を描くときは、常に『動き』を意識しますね。お坊さんのように、じっとしているイメージの強いキャラクターを描く場合も、どうにかして動きをつけようとします。そうすることで、キャラクターの新たな魅力を引き出せると思うのですよ」

「サプライズの提供」「潜在意識への訴求」「動きのある構図」が魅力的なキャラクターを生み出すために欠かせない工夫です。

サプライズを提供する、潜在意識に訴える、動きのある構図を目指すという3点は、須田氏が実在の人物を描くときにも意識していること。アニメキャラクターでも実在の人間でも、対象を魅力的に描く方法論は共通しているのかもしれない。

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