仕事の学びを科学する 経営学習論 【第3回】

中原 淳

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2015年01月13日

僕が今、マネージャー育成というテーマと向き合っている理由

僕が今、マネーキャー育成と深く向き合っている理由は、リアリティのあるテーマだからです。研究者には、大きくわけると2つのタイプある。1つ目のタイプは、自分の存在と研究テーマを切り離して考えられる人。2つ目は、自分の生き方と研究をくっつけて考える人。僕はどちらかというと後者にあてはまります。

 

たとえば、以前、執筆した本に『職場学習論 仕事の学びを科学する』(東京大学出版会 刊)という著書があります。この本を執筆していた時は、入社してからのいわゆる初期キャリアの形成から、10年目くらいの熟達までを主要テーマに研究していました。この本は、2010年に出版されましたが、着想はもう少し前のことでした。当時の僕にとって、このテーマがもっともリアルでした。

 

今は30代後半を迎えて、周囲の同世代のビジネスパーソンが課長になりはじめて苦労しているのを見聞きしている。僕自身も大学という組織に属しているわけですから、彼らの苦労はリアリティがある。自分自身も、部門長として、ひとりのミドルマネージャーとして研究部門を代表しています。だから、マネージャーの育成について研究している。ようするに、今の僕はここだっていうものが、そのまま研究テーマになり、アウトプットされているわけです。この流れはずっと続くでしょう。数十年がたてば、いつか、僕にも退出が迫っていますね。その頃には、また違う研究をしているでしょう。

 

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自分の在り方と研究は切り離せない。今の自分をアウトプットしている。

 

 

自分の存在とアウトプットされるものは密着している、というのが基本スタンスですが、昨年、刊行した『経営学習論 人材育成を科学する』(東京大学出版会 刊)という本は例外です。

 

これは、人材育成の流れを体系化したもので、新入社員、若手社員、マネージャー、中途採用、組織外の学びなどを幅広く網羅しています。企業の人材育成に係わる人たちから、「教科書にしています」という嬉しい言葉を頂戴することもありますが、自分自身の気持ちとしては、これからの若手研究者のために書いたものです。

 

ビジネスパーソンの学習については、個別のテーマごとに研究されてきましたが、それらの研究の知見を広くカバーし、まとめたものはありませんでした。

僕としては、人材育成の分野も面白いよ、ということを次世代に伝えたかった。そのためには、人材育成の全体像を俯瞰して見られる地図のようなものが必要だと思った。これが執筆の動機です。若い研究者がこの本を批判し、踏み台にすることで、この分野で活躍する人が台頭してくればと願っています。

 

 

(※本記事は、2013年7月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。

記事中の年齢、肩書きなどは2013年取材時のものです。)

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