中村義裕×新将命【第3回】教養を身につけて「己の座標軸」を確立 – 教養はぶれない軸と強靱な決断力をもたらす。[特集] リベラルアーツ -生きた教養を身につける-

教養はぶれない軸と強靱な決断力をもたらす。[特集] リベラルアーツ -生きた教養を身につける-

「己の座標軸」がなく、常に判断がぶれているようでは、正しい策など見つかるはずがありません。

日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスといった、グローバル・エクセレント・カンパニーで経営職、社長職を務め、「伝説の経営者」と呼ばれた新将命氏と、歌舞伎をはじめとする演劇全般に造詣の深い演劇評論家・中村義裕氏。二人の達人が、ビジネスパーソンにおける、日本の伝統文化「教養」の重要性と、それを磨く方法について議論を交わした。

白谷輝英 ≫ 文 波多野匠 ≫ 写真

(※本記事は、2018年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

教養を身につけて「己の座標軸」を確立

―最後に、教養を身につける利点をお教えください。

新  最も大きい利点は、「己の座標軸」が確立できることです。教養がない人は、考え方に一貫性・継続性がないため、判断にブレが生じがち。一方、教養があれば大局的にものごとを観察し、正しく決断できるようになります。

中村 そうですね。しかも、分野には関係ありません。

新  現代の日本は成長段階を過ぎ、市場は頭打ち。一方、時代が移り変わるスピードは増し、古い「勝ちパターン」はすでに通用しません。そこでビジネスパーソンは、自力で解決策を編み出さなければならないのです。「己の座標軸」がなく、常に判断がぶれているようでは、正しい策など見つかるはずがありません。

中村 私も企業研修などで、リベラルアーツ関連の講座を担当する機会が増えてきました。ある企業では、3時間の講座を開いた翌年に4時間、さらに翌年は6時間の講演をとリクエストをいただきました。それだけ、世間一般でも教養の必要性や関心が高まっているのでしょう。リベラルアーツの講座が増えたのもその一例だと思います。

新  なるほど。そういえば、海外で経営者のパーティーに出ると、欧米の経営者たちが教養豊かであることに驚きます。あるグループではシェイクスピアについて語り合い、別のグループでは大英博物館の展示物について議論しているのです。ところが日本人経営者の話題は、ゴルフと健康、そして孫自慢ばかり(笑)。代表作『エクセレント・カンパニー』で知られる経営コンサルタントのトム・ピーターズは、新しい著書『TheExcellence Dividend』(日本語未翻訳)で、MBA(経営学修士)ホルダーより教養学部出身者の方が、はるかに出世していると書いています。経営の論理や分析手法といった「有用の学」を学ぶMBAに比べ、「無用の学」が中心の教養学部で学んだ人の方が出世しているというのは、示唆的ではありませんか?

中村 なるほど!そうした動きは、アメリカだけでなく日本にも押し寄せていますね。

―では、日本のビジネスパーソンにも、ますます教養は大事になるわけですね。では教養を磨くには、どんな心がけが重要なのでしょうか?

新  教養の源である好奇心を持ち続けるには、短期と長期の目標を持つといいと思います。自分が納得できる目標を立て、達成したら新たな目標をつくる。そうしてずっと追いかけていけば、歳をとっても情熱を維持できます。

新 教養の源となる好奇心を維持するため短期・長期の目標を持つべし。

中村 私は、「自分なりのテーマ」を見つけることをお勧めしたいですね。「勉強」という字は、「勉めると「強いる」という言葉の組み合わせです。つまり、無理にやるからどうしてもつまらないんです。一方、自分でテーマを見つけ、夢中になって学べば、それは「学問」になります。そこには、先人が残した広大な教養の森が広がっていて、散策するだけでも楽しめるはずです。

新  ダイヤモンドはダイヤモンドで磨かれ、人は人で磨かれる。優れた人と出会い、刺激を受けることも、好奇心を維持するのに有効ですね。

中村 同感です。今日も新さんとのお話を通じて、いろいろな発見ができました。ありがとうございました。

新  それは私も同じです!こちらこそ、楽しいお話をありがとうございました。

対談者プロフィール

中村義裕(なかむら よしひろ)
演劇評論家・著述家
少年の頃より芝居が好きで、現在までに6,000本を超える芝居を観劇。演劇評論、日本文化研究家。舞台俳優との対談、トークショー、舞台演出、プロデュースなど多彩な活動を展開。一方、歌舞伎、武士道、神と仏、浮世絵などをキーワードに日本文化を語る。早稲田エクステンションセンターで、「歌舞伎ものがたり」「知っておきたい日本の伝統」などの講座を開催中。2018年6月カザフスタン共和国の招きにより、現地で日本の伝統芸能をプロデュースし、大好評を博す。著書に、『九代目・松本幸四郎』(三月書房)、『日本の伝統文化しきたり事典』(柏書房)、『歌舞伎と日本人』(東京堂出版)がある。

新 将命(あたらし まさみ)
株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役
1936年東京生まれ。早稲田大学卒。株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。シェル石油(現 昭和シェル石油)、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなど、グローバル・エクセレント・カンパニー計6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年から9年間、住友商事株式会社のアドバイザリー・ボード・メンバーを務める。現在、数多くの企業のアドバイザーや経営者のメンターを務めながら長年の経験と実績をベースに、講演や企業研修、執筆活動を通じて国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。

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