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藻谷浩介 – 得た情報をもとに自ら考え、動ける人になる

藻谷 浩介

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2021年01月12日

藻谷浩介「みんなが言っているから正しい」を抜け出す -得た情報をもとに自ら考え、動ける人になる-

選ばれるためには「出口」のある会社に

「ウィズ・アフターコロナ」の世界がどう変わるのか。確固とした答えを見つけられないまま、手探りの日々を送っている人が多いのではないだろうか。メディアでは視聴者の不安を煽る報道が繰り返され、SNSでは多様な意見が氾濫している。私たちは何をもとに真実をどう判断していけばいいのだろうか? 株式会社日本総合研究所主席研究員であり、ベストセラーとなった『デフレの正体』『里山資本主義』などの著書で、社会通念と異なる〝事実〞を指摘した地域エコノミスト、藻谷浩介氏に教えを乞うた。

(※本記事は、2021年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

村上杏菜≫ 文 阿部 章仁≫ 写真

藻谷浩介(もたに・こうすけ)

地域エコノミスト 株式会社日本総合研究所主席研究員
1964年、山口県生まれ。地域エコノミスト。株式会社日本総合研究所主席研究員。平成合併前3,200市町村のすべて、海外114カ国を自費で訪問し地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し、精力的に研究・著作・講演を行う。著書に『デフレの正体』『里山資本主義』(KADOKAWA)、『完本・しなやかな日本列島のつくりかた』『観光立国の正体』(新潮社)など。近著に『東京脱出論』(ブックマン社) 。

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「コロナで世界は変わらない」

選ばれるためには「出口」のある会社に

選ばれるためには「出口」のある会社に

100年に1度の公衆衛生の危機と言われる新型コロナウイルスの大流行。先が見えない不安からか、多くの人が「コロナで世界は変わる」と口にする。
「本当でしょうか。『みんながそう言っている』以外に根拠はありますか。
コロナは、前からあった構造的な問題を一時的に見にくくしたり、逆に顕在化させたりしているだけです。就職市場でいえば、買い手市場の復活は一瞬で、歯止めなき少子化によって新規学卒者が年々減り、人手不足が深刻化していくという基本構造は変わりません。逆に飲食店や旅行代理店の危機は、過剰出店やネットによる業態自体の改変の必要が顕在化しただけです。こういう時代だからこそ、どの企業が人材を大事にしているか、どの企業が構造的な困難にきちんと立ち向かっているのかが見えてきます」

企業にとっては減り続ける労働人口を奪い合う形が続く。やる気のある人に来てもらうにはどうすればよいのか。

「選ばれる会社になるには〝出口〞のある会社になることです。『一生面倒みますよ』という誘い文句より、『うちで働けばどこでも活躍できる人材になれる』と打ち出すほうが、プロフェッショナル指向で成長意欲のある若者を惹きつけられます。自社のIT化が遅れているのであれば、思い切って若者に改革を任せ、彼らの実績にしてやってもいい。安心と安定を売り物に、ここが人生の終着地点だと思わせる企業には、役人的で書類だけを積み上げるような人が集まってしまいます」

転職や副業などに寛容であることは、会社にとっても実はマイナスではない。

「海外のビジネスパーソンは転職を通じて人脈を広げ、情報をシェアしあっている。そのような、社外人材とメール1本でつながれるネットワークを使うことで、世界の企業はビジネスチャンスを広げているのです」

風通しと人通しのよい企業はビジネスが活性化していく。
そんな企業で自身を大きく成長させ、次に挑戦したいと考える意欲的な若者は多そうだ。

事実を受け入れ改善できる企業が選ばれる

「正論を言う社員を無下にしないことも、選ばれる会社になるためには大事なことです。

売れない理由を精神論で片付ける上司に対し、戦略の欠如や体制の古さなどの事実を指摘する若手を、『和を乱すヤツだ』と頭ごなしに否定していませんか。『じゃあ対案を出せ』と、開き直るのも論外です。事実の指摘は認めて受け入れ、そのうえで『じゃあどうしようか』と解決策を一緒に考えさせる。それができる会社にならなければ、意欲ある若者には見切りをつけられ、安定第一の人しか残りません。和を乱さぬ者だけを求める会社は、これから先が厳しい」

会社にとって都合の悪い事実を突きつける社員の存在と、全体としての団結や共感性とは、そもそも相反するものなのだろうか。

「みんなが言わない事実を口に出すと、空気が読めないとか人の気持ちがわからないなどと否定的に捉えられがちです。しかし事実発見力と同調する力は、同時に持つことができます。精神科医の斎藤環さんが対談で『共感なき同意』と『同意なき共感』という表現をされていました。『まったくそう思わないけど、従います』が前者で、これを強いられ続けると人はおかしくなっていく。後者は『正しいとは思わないけど、あなたがそう言っている気持ちはわかります』という姿勢で、フラットな関係性で対話ができる。事実は事実として受け入れ、共感の世界で〝改善〞を行なっていくのです」

『共感なき同意』に慣れて本音を言わない若者が多い時代、事実を受け入れて改善する姿勢を見せなければ、『同意なき共感』のできる人材に選ばれることは困難だろう。そもそも〝みんなが言っていること〞が本当に正しいとは限らない。

「人は、深く考えずに周囲の人の動きに従います。この点はイワシと似ています。イワシの群れが一糸乱れぬ泳ぎができるのは、本能にもとづいて隣の魚と同じ方向へ一瞬で方向転換できるからです。ただし全体が向かった方向にサメがいることもある。人も同じで、みんなが向かう方向が正しいとは、まったく限りません。」

「専門知識」の前に「事実発見力」。 みんなが言っていることを信じる前に、自分で数字を確かめよう

「専門知識」の前に「事実発見力」。
みんなが言っていることを信じる前に、自分で数字を確かめよう

とはいえ、みんなが信じていることにあえて異論を唱えるのは、勇気のいることだろう。

「周囲に従って集団行動するという本能を持つことで、人間は生き残ってきました。SNSが劇的に普及したのも、『みんなはどう思うか』を瞬時に把握できるからです。ですがSNSは、根拠なき思い込みの巣窟でもありますね。こういう時代だからこそ、事実を確認して自分の頭で考えることが必要なのです」

「事実」をどう判断するか

みんなの言うことを信じたくなるのが本能なら、正しい事実をどう見つけていけばよいのか。

「人間はそもそも事実を見るようにはできていないと自覚することです。たとえば面接の際、異性を見る時には〝自分にとって好みか〞のバイアスがかかりがち。でも、そういうものだと自覚しておけば、意識的に是正することができます」

そのうえで、事実に基づいて判断することが大事だという。

「『PDCA』で一番重要なのはC(CHECK)。P(PLAN)に時間をかける人が多いですが、実行してみて結果がどうだったか事実をCHECK(評価)して改善することがPDCAの本質なのです。事実を前に〝ああでもこうでもない〞とトライ&エラーを繰り返す。複雑な現実に向き合う農業や介護、整体といった仕事ほどこれが重要で、ネットで情報を集めているだけでは成り立ちません」

「誰の、何の情報を見ればいいのか」という発想自体、「人の言ったことが正しい」から抜け出せていない証拠だと藻谷氏は指摘する。

「基本的なことは自分で数字を追うべき。たとえばコロナは怖いと世の中は大騒ぎですが、いったいどれくらいの人が死に至っているのか。感染者数や死者数などはそれほど調べなくてもすぐに見つかります。それをエクセルなどでグラフにするだけ。その程度なら、小学校か、せいぜい中学校までの知識でできます。一から自分で数字を調べたベーシックな事実こそ、真実です」

大人になると理論や社会的な常識にとらわれやすく、真実を見る目が曇るのかもしれない。

「専門知識の前に〝事実発見力〞です。まずは〝絶対数〞を自分で調べること。次に〝証明〞よりも〝反証〞(真実でないと立証すること)を重視すること。つまり机上のモデルより、現実を見ましょう、ということです」

人の言うことに振り回される前に、自分の目で確かめる。このシンプルな習慣を大事にしたい。

藻谷氏に聞く!人事担当者が知りたい、コロナ関連データが示す〝事実〞

「研修はやっぱりオンラインで実施すべき?」「業績がいまいちだから採用人数を減らしたほうがいいかも?」など、コロナ禍における人事担当者の悩みは尽きない。判断の指標となるデータを藻谷氏が読み解く。

「コロナが怖い」は本当?

図1で、これまでの感染状況(2020年11月21日時点)を確認してみましょう。「毎日の陽性判明者数」と「毎日の死亡者数」の2つの折れ線グラフは山の上下幅に違いはあるものの、「中国からの第一波」「米国東西海岸と欧州からの帰国日本人由来の第二波」などの出来事と連動して1カ月ごとにピークを繰り返していることがくっきりと見てとれます。

日本での感染拡大のこれまで

10月後半から感染者が急拡大したのは、感染者が集中している東京を10月1日にGoToトラベルの対象地域に入れたことが原因だと推測されますので、もっと早めに東京を対象から外すべきでした。

もう一つ注目すべきは「死者数」です。第一波、第二波と回を重ねるごとに感染者数の山は大きくなっているにもかかわらず、死者数の山は小さいまま。つまり、7月以降は死亡率が大きく下がっているわけです。具体的には、当初の8%から1%程度に急減しています。この事実をどれだけの人が知っているでしょうか。単純な数字をグラフにすれば推測できるのですが。ちなみに、曜日による陽性検査実施の有無の差をならすために、陽性判明者数は「前後7日間の移動平均※」で算出してあります。

さらに、年齢別の陽性判明者数と死亡者数との累計をまとめたのが次の図2です(「6/30まで」と「7/1〜10 /7」で区別してあるのは死亡率が大きく異なり状況がまったく違うため)。

年齢別では誰がなくなっているのか?

未成年者の死者はこれまで皆無で、採用活動のメインターゲットとなる20〜40代の死亡率もほぼゼロであることがわかります。インフルエンザやがんの死亡率、原因を問わない死亡率と比較しても低いのです。

60歳以上はリスクが高まりますので、その人たちにうつさないようにすることは大切ですが、高齢者を対象にしない限り、企業の採用活動を控える理由はありません。

採用や研修、どう進めていく?

これまでの経験上、日本ではどのような場所で感染が起きているか、事実から振り返ってみましょう。「密集、密閉、密接」の〝3密〞が重なると危ないという話が、いつのまにか「密集は危ない」という単純な話にすり替わってしまいました。ですが本当に危ないのは、「密集×換気不全の屋内×マスクなしでの長時間の会話の3つが重なること」なのです。

電車や飛行機の乗務員、駅や空港の係員、タクシーやバスの運転者、などではクラスターはほぼ見られていません。換気がなされ、マスクなしの会話もないからです。逆に介護施設や居酒屋、接待型飲食店、会社の会議室などでクラスターが発生した事例では、共通して、換気不全とマスクなしでの会話が伴っています。口を近づけず室内をよく換気する限り、感染の危険は低いのです。

それに対して気休めの効果しかないのが、検温や消毒でしょう。これを採用や研修に当てはめるとどうなるでしょうか。

手洗い・うがいは当然として、マスクをした状態である程度の距離をとり、換気を十分行った部屋で面接や研修をすることに何も問題はないと思われます。感染を恐れて何もかもオンライン化するきらいがありますがナンセンスです。

また、コロナ不況で業績が芳しくないから採用を控えたいという企業もあるかもしれません。すでにお伝えした通り、新卒者の数はどんどん減っていくので採用を控えるのはリスクがあります。

経済のシュリンクに合わせて採用も減らしたいとしても、いきなり減らすのではなく徐々に減らしていったほうがいい。

さらに、採用以上に重要なのが離職への対応。できれば中途採用も併用して人材の確保に努めたほうがいいでしょう。

そのほか、図3にあるように、人口が過密な都会ほどコロナの感染状況は深刻です。「都会は人が多いから当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、このグラフでは「人口100万人あたりの陽性判明者数」に換算してあります。東京都が感染のリスクが高いというのは客観的な事実なのです。

人口が過密な都会ほど感染も深刻

それ以外にも、地震や洪水、噴火など天災に対しても都会は脆弱です。非常時を考えたうえで企業活動を適度に分散することや、情報チャネルを確保することがリスク回避につながります。

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