働き方・生き方
HUMAN RESOURCE DEVELOPMENT 人材育成
八坂貴宏【第2回】子育てが部下育成力を高める – 研修講師リレーコラム
八坂貴宏プロフィール
八坂 貴宏(やさか たかひろ)
office.YASAKA 代表/NPO法人コヂカラ・ニッポン 副代表
会社員を経験したのち「office.YASAKA」設立し、教育コンサルタント業として独立。
管理職向け部下育成研修、リーダーシップ研修、中堅・若手社員向け自立型人財研修、新入社員向けビジネスマナー・マインド研修、コーチング研修、プレゼンテーション研修、モチベーションアップ研修、キャリアビジョン研修、タイムマネジメント研修、 営業基礎研修、顧客満足研修、企画力強化研修 など多岐に渡る研修を製造メーカー、食品メーカー、銀行、保険、IT企業、旅行代理店、自治体、官公庁など年間約140日受託。
また、自らの経験を活かし、“イクボス”をはじめ、“イクメン”“女性活躍推進”“ワークライフバランス”“子どものキャリア教育”などをテーマに講演もこなす。
子育てが部下育成力を高める
私には小学校6年生の長男がいます。野球が大好きで、小学1年生から少年野球をやっています。私もこれまでコーチとして、チームに関わってきました。ただ、息子には、正直、手を焼いていました。
「足がとても遅い」「フライが全く取れない」しかも「打てない」。同年代どころか、下の学年の子どもたちと比較しても、明らかに下手。何とかしてやりたい。私も一生懸命でした。 何度も練習に連れ出し、できるようになるまで、辛抱強く指導し、うまくできた時は、ハイタッチしてともに喜び…どれだけ時間をかけて関わってきたことか。
でも、自分では練習しようとはしないし、なかなか上達しない。 本人のやる気の問題? それとも私の指導の仕方が悪い?ずいぶん悩みました。その時、私が部下育成研修の中で伝えている大切なことを思い出しました
部下に「期待」するのではなく、「信頼」すること。一体どれくらい息子のことを信頼しているのだろうか? そう、私が言わないと、もっとさぼると思っていた。しかも、普通に野球ができるようになってほしいと自分勝手な期待をして、押し付けていた。そして、私は関わり方を変えることにしました。
どれだけさぼろうとも、上手くなかろうとも、信じて待とう。何よりも、私自身がコーチ業や自分の仕事をもっともっと楽しもう。 そうしたなか、数ヶ月が過ぎたある日曜日、大きな出来事が起こりました。地区大会で、ピッチャーとして先発出場することに。息子がようやく掴んだチャンスでした。私はただ笑顔で見守ることだけに徹しました。
初回表は、顔は青白く身体はガチガチながらも、2失点で何とか切り抜けました。そして、裏の攻撃。チームメイトの連打で逆転。2回以降はフォアボールを一つも与えない好投。チームメイトも息子を勝利投手にしようと、一丸となって堅い守備を見せる。控え選手も、いつもより応援する声が大きく盛り上がる。その後も0点に抑え、バッティングでは自身初のツーベースヒットを放ち、4回でコールド勝ち!何と、先発初完投勝利を収めたのです。
長男がとても大きく見えました。いつの間にか成長していたのです。部下育成も同じことが言えると思います。誰だって部下に「こうなってほしい」と期待してしまいます。でも、期待を優先しすぎると、即効性や短期間の成果を求め、部下にとことん指示します。
こちらの思い通りの結果が得られないとイライラして、待てずにさらに口出ししてしまいます。そう、コントロールしようとするのです。きっと部下は窮屈でしょうね。私の息子と同じように(笑)
本当に相手(部下・子ども)のことを信頼していますか?
期待を寄せて、相手(部下・子ども)を思い通りに動かそうとしていませんか?
子どものチカラを信じることで、子どもだけでなく、私自身が日々成長しています。部下のチカラを信じることで、部下だけでなく、自分自身も成長しますね。
(※本記事は、2014年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事をWeb版として再構成しました。)
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