山本昌邦【第1回】人を育てることでしか強いチームは作れない – 理念が活きる組織の条件

山本昌邦 理念が活きる組織の条件

理念が活きる組織の条件

「サッカーの世界では、チームをまとめるための理念に正解はありません。それぞれのクラブに歴史があり、メンバーや対戦相手も毎回違う。選手のコンディションや気象条件だって同じ日は1日たりともないのです。90分プラスアディショナルタイム、その最後の瞬間までいかに一体感を持って戦えるか、それがチームとしての全てです」

情熱で相手を揺さぶる人もいれば、徹底した理論派を貫く人もいる。チームを勝利に導くことを使命とする監督やコーチにも色んなタイプがいるという。「人を”育てる“ことこそが勝てるチームを作ること」と話すのは、指導者として世界ユース、五輪、ワールドカップなど数多くの国際試合を経験した山本昌邦氏。世界の一流選手を見つめ続けてきた同氏が、”人“を軸にした組織作りを語る。

村上春菜≫文 櫻井健司≫写真

※この記事は、2015年10月1日発行のノビテクマガジン発行時に収録した内容の再掲です。記事中の年齢、肩書きなどは2015年取材時のものです。

人を育てることでしか強いチームは作れない

山本昌邦

「サッカーの世界では、チームをまとめるための理念に正解はありません。それぞれのクラブに歴史があり、メンバーや対戦相手も毎回違う。選手のコンディションや気象条件だって同じ日は1日たりともないのです。90分プラスアディショナルタイム、その最後の瞬間までいかに一体感を持って戦えるか、それがチームとしての全てです」

こう語るのはトルシエ・ジャパンのコーチやアテネ五輪の監督、ジュビロ磐田の監督など数多くの指導者経験を積んできた山本昌邦氏。

「高尚な理想を掲げたところで、メンバーが活きる理念でないと意味がありません。この選手たちで何ができるか、どのように能力を引き出せば勝利の可能性が見えてくるのか ……。あくまで主体は選手。扱う選手によって、監督自身が自らの哲学を変えていかねばなりません。このチームで目指すのはどこなのか。そのためにどんなサッカーができるのか、やりたいか。一人ひとりの選手を見つめながら戦略を組み立てます」

山本昌邦

山本氏は徹底して人を ”育てる“ チーム作りをしてきたという。

「組織は人なり。私はそう思います。データを分析していかに優れた戦略を練ろうとも、プレーをするのは選手です。最後の最後はメンタルが全てだから、選手を育てることでしか勝てるチームは作れない。私は、控えを含めた23人の選手全員の良い所を最大限に引き出せるのがいい監督だと思っています」

選手のメンタルの管理、モチベートの手法はそれぞれの監督次第だという。「あの監督のようになりたい」と言っているようでは頂点を目指すのは難しい。ベースとなる自分なりのサッカー哲学・指導哲学を持つことは大前提と言える。

自主性を引き出し団結に導いていく

選手と向き合い、その良さを最大限に引き出していくために山本氏が大事にしているのは、選手一人ひとりの自主性。人に強要されると嫌気がさしてしまうのに、自分の意志でやり始めたことなら苦ではないという経験は少なからず誰にでもあるだろう。

山本昌邦

「良い監督は上手に選手の自主性を引き出します。そのためには、いい質問ができるかどうかがポイントです。たとえば『あの時ボールを取られたのはどうしてだと思う?』と選手に尋ねるのです。そうすると自分なりに考えて答えてくれますから、同じことを繰り返さないための解決策を一緒に話し合うのです。答えを最初に教えてしまうと自分で考えることを放棄し、教えられたことしかできなくなります。選手に自ら気付かせることが重要なのです」

全体に意識してほしいことがある時、山本氏はその内容をできていない人に指示するのではなく、あえてできている人にみんなの前で言うそうだ。

「自分ができていることを言われても精神的に負担にはなりません。それを聞いている周りの人たちに『あの人でもあれだけ言われているのだから ……』と省みてもらうのが目的。直接的に指示するより、自ら感じ取ってもらう方が受け入れられやすいのです」

個々の選手へのプレッシャーのかかり具合や精神状態をおしはかり、最適な言葉選びと伝え方とで、チームに戦略を浸透させていく。スタメンから漏れたサブの選手のモチベーションのフォローも重要だと山本氏は続ける。

「代表のメンバーというのはそれぞれの所属チームのエースの集まり。試合に出られずベンチに座っていること自体が彼らには大きなストレスなのです。私はいつも『我々のチームにレギュラーという言葉はない。たまたま今日スタメンかサブかの違いだけだ』と伝えています。そして試合の直前のミーティングで、『最後の15分、おまえのスプリント力が絶対に必要になる。しっかり準備しておけよ』とあえてサブの選手に声をかけます。そうすることでサブを含めて一つのチームであり、戦略なのだと自覚を促すことができるのです」

短期間で団結しチームとしての完成度を高めなければならない代表チーム。監督の細やかな配慮により選手の自主性が引き出され、チームにおけるそれぞれの役割を自覚してもらえれば、自然と「勝利」という共通の目標に向かって結束していく。

「試合で良かったことを褒める時には『君たち』、悪かったことを反省する時には『我々』と主語を使い分けます。これだけのことでも、選手を尊重し、失敗は共にかぶろうという意志が伝わります」

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