目指せ!デキるビジネスパーソン
~マグロ船から学んだ全てのこと~

齊藤 正明

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2015年03月17日

息が詰まるほど狭い空間で、船長はどのように厳しい指導や
注意をするのか?

「私はマグロ船に乗せられたことがあります」

 

こう言うと、ほとんどの人は不思議そうな顔をして、「借金があったんですか?」と、小声で聞かれます。

 

私は大学を卒業したあと、民間企業の研究所に就職をしました。そこで与えられた仕事が、『マグロなど、生魚が腐りにくくするための鮮度保持剤の開発』でした。

 

この研究所は所長の無茶な命令が多かったため社員はやる気を落とし、一日中転職サイトを見ている人、何もかもあきらめ、一日中、寝ている人などがいました。「ここで働くと、みんな元気がなくっていく」ということで、本社からは「ゾンビ製造工場」と呼ばれていた部署に配属されていたのです。

 

「私もいつかは先輩スタッフのように、無茶なことを言われるに違いない」と、ビクビクと恐れる毎日をおくり、入社から1年ちょっと経過したとき、とうとう運命の日がやってきました。

 

会議の席で、所長から突如、「お前がマグロの鮮度保持剤の開発を一気に進めるためには、マグロ船に乗ってマグロのすべてを見てこい!」と命令されたのです。マグロ船に乗っても実験条件が整わないので、「乗っても意味がないと思います」と恐る恐る反論したところ、「乗らなかったら、お前の書類には二度とハンコを押さねぇからな!」と問答無用でドスのきいた口調で一蹴され、かくして体重56キロと貧弱な体格でおまけに虚弱体質というマグロ船にまったく向いていないにも関わらず、泣く泣くマグロ船送りとなり、赤道近くまで連れていかれてしまったのです。

 

赤道の海【第1回】

「マグロ船は過酷だ」。というウワサは昔からまことしやかに言われていますが、実際に乗ったことで、それはウワサなどではなく本当であることを実感しました。

 

朝は6時から始業となり、釣り針を海に流しはじめます。この釣り針は、100Km以上にもおよぶ長さのロープに2千本も付いています。
このロープを流し終わるのは12時です。次にマグロが釣り針にかかるのを待つため、3時間停泊し、この間は、漁師たちにとって貴重な睡眠時間にもなっています。
15時になったら流したロープを巻き上げる作業を行います。この巻き上げている途中途中にマグロが揚がるのですが、ロープを回収し終わるのが、翌朝3時です。
このあと休息をとり、また朝6時からのロープを流す作業に備えます。

 

つまり漁師たちは実働の勤務時間だけで、17時間にもおよぶのです。そんなハードな長時間にわたる肉体労働は、危険との隣り合わせになります。
そのため船長は、若い漁師が危険なことをしていないか、常に気を配っています。しかし、17時間も船長にジィ~ッと見られていたら、狭い船内にストレスが充満し、それによって人間関係がこじれて作業効率が落ちてしまいます。
ですから船長は、若手を見守りつつも、かといって、監視にはならないようにしないといけないという、一見矛盾したことをしないといけないのです。

 

そこで「若手を見ているポイントってどこですか?」と船長に聞いたとき、
次のように教えてくれました。

 

「昨日はできなかったけど、今日できたところ見よるかいのぉ」

 

「そんな小さい差なんて、どうしたらわかるんですか?」

 

「え゛~、こんめぇことでええから、3つとか4つとか教えてあげんのよ。『こげーするとうまくできるど』とか、『そこに足を置くとアブねぇど』とか」

 

「翌日、教えてあげたことができたところがあれば、褒めてあげるんですか?」

 

「そげーじゃ。1個でもできるようになったところがあれば、『できるようになったの』と声をかけてやんのよ」

 

「じゃあ、昨日教えて、次の日になってもできていなかった部分はどうするんですか?」

 

「よっぽどアブねぇことでなきゃ、ほたくっちょく」

 

「ええ~、放置しちゃうんですか?」

 

「3つ教えたなかで、できるようになりよった1つをちゃんと気づいて褒めてやれば、言われた子は、『あ、船長はできちょらん残りの2つも知りよるな』っちゅーように、言わなくてもわかるんど」

 

「会社だとつい、できるようになった部分には何にも言わないで、できていないところばかりを『何回言えばわかるんだ?』と指摘しがちなんです」

 

「ま゛~でも、危険なことについては、ちゃんと言わねぇといけねぇけんの。“できたところを見る”っちゅーより、“できたところと、できてないところの両面を見ちょく”ちゅー感じかいの」

企業においても、上司が部下に対して、できていないところばかりをアラ探しをするがごとく、
“ジィ~ッ”と見てしまうと、部下は、萎縮し、会社に活気がなくなってしまうのです。

 

部下のダメなところをキチンと指導してあげることは必要ですが、それだけだと指摘魔になり部下の心は離れてしまいます。

 

良い面と悪い面の両面を指摘してあげることで、部下は、「この上司は、私を正しく理解してくれている」という信頼感が生まれ、だからこそ上司の言うことを聞くようになったり、部署にまとまりが出てくるのです。

 

 

 

次回は、漁師たちの意外な給与額から知った、ヤル気の出させ方をお伝えします。

 

 

 

 

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