岩崎究香【第3回】人には怒られたい時がある – 古き良き伝統文化と美が息づく花柳界のOJT

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岩崎 究香

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2015年03月19日

『後輩の指導や育成においても、責任を持って“叱る”ことが大切だと思います。』

日本の伝統文化と美を色濃く受け継ぐ京都・祇園で、100年に一度の逸材と謳われた岩崎究香さん。
15歳で舞妓としてデビューし、6年間連続売上ナンバーワンの記録を作ったこともある。
29歳で現役を引退するまでに経験してきたお座敷での数々の出来事や見習い時代のエピソードから、あらゆるビジネスに通ずる現場指導のヒントを探った。

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人には”怒られたい時”がある

芸妓にとって、どのようなお客様にご贔屓にしていただけるかが自分の成功を左右すると言っても過言ではありません。一流のお茶屋さんで一流のお客様に接することが、自分を一流にすると私は思っています。楽な方に流されると人間は堕落してしまう。どんなお座敷にも舞にも100%満足することなく、常に反省と挑戦を繰り返すことが自分を磨き、一流のご贔屓筋を呼び寄せてくれると信じています。

おかげさまで、29歳で現役を引退するまでの間ご贔屓にしていただいたお客様には哲学者の谷川徹三さん、京セラ創業者の稲森和夫さん、作曲家の吉田正さん、ソニー創業者の盛田昭夫さんなど、そうそうたる方々がたくさんいらっしゃいました。その方たちのお座敷でのエピソードを挙げるときりがありませんので残念ながらここでは割愛させていただきますが、どの方にも共通していたことは“心の広さ”だったような気がします。どの方も、間違ってもお座敷で部下や後輩を怒鳴るというようなことはありません。そして決断力があり、自分のしたことに責任を取るという強い意志がおありでした。

後輩の指導や育成においても、責任を持って“叱る”ことが大切だと思います。私が指導していただいたお師匠さんや女将さんは明治生まれの一本筋の通った方ばかりで、指導はとても厳しくはありましたが、同時にその指導に責任を持ってくれていたような気がします。「責任を持って自分が育てる」という懐の深い愛情が根本にあったのです。

時代が進むにつれ、叱るべき時にも叱らない人が増えてきたような気がします。叱らないのは優しいからではなく、責任を取りたくないから。だけど人間には“叱られたい時”があるのです。

「このやり方で正しいのかな」「自信がないな、不安だな」という時に、上司や先輩にバシッと叱って背中を押してもらいたい時があるのです。そこに愛情があれば部下や後輩にはきちんと伝わりますし、絆も深まります。愛を込めて叱り、責任を持って諦めずに丁寧に指導してあげてほしいと思います。

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4月号発刊の第4号にふさわしい、春をイメージした着物で登場してくれた岩崎さん。
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銀鼠のぼかしが入った黒綸子地に散りばめられているのは可憐な桜の花々。帯は桜の意匠を豪華絢爛な総刺繍で。
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刺繍は一見白色に見えるが、実は淡い桃色に染められた糸が使われている。
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色の濃い着物にも柔らかくなじませる匠の技。

今、祇園をはじめとするお座敷文化は時代の波に揉まれ徐々に縮小していきつつあります。

私たち祇園の人間には、この文化を守り次世代へ伝えていく責任があります。

そのためには、時代にそぐわない指導の仕方や意味のないしきたり、悪習は改めることも必要です。

指導や継承の形式は変わっても、その核となる精神は決して変わりません。

次世代を担う若い方たちの意見やアイデアを受け入れてこそ、なおいっそう今の時代において古き良き伝統文化がその輝きを増すのではないでしょうか。

世界に誇れるこのお座敷文化と精神を、私は一生をかけて世界に発信していくつもりです。

(※本記事は、2014年4月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

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