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宇都出雅巳【第2回】本とあなたの間でどんな反応が起こっていますか? – 速読勉強術のプロ まとめてグルグル10冊書評

宇都出 雅巳

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本とあなたの間でどんな反応が起こっていますか?

10冊の本のタイトルを読んでどうでしたか? ちなみに覚えていますか?
と言われて、「え?」と固まった人がいるかもしれませんが、別に試験ではないので、リラックスしてください。でも、どんな本があったか思い出してみてください。思い出せなくても全く問題ありませんので。
おそらく、スラスラと10冊のタイトルを思い出せた人はいないでしょう。それぐらい人は忘れやすいものだからです。私も同じです。それでは、もう一度見てください。

町工場の娘
『俺のイタリアン』を生んだ男 「異能の起業家」坂本孝の経営哲学
経営者格差
世界の働き方を変えよう
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話
マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則
仕事が楽しくなる!25のルール
パンツを脱ぐ勇気
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ
したたかな生命

「ああ、そうそう」「これは覚えていたよね」とかいろいろな反応が起こったでしょう。同じタイトルでもまた違った顔を見せ始めたものがあったかもしれません。

さて、第1回の最初にも問いかけましたが、このタイトルを読んで、あなたは何を思ったり感じたりしたでしょう? おそらくいろいろな反応が起こったと思います。

たとえば、この中で知っている本があれば、「ああ知っている」という反応が起こるでしょう。『学園ビリの……』は『ビリギャル』の略称でベストセラーになりましたから、ご存じの方も多かったでしょう。その表紙の女子高生モデルが浮かんだ人がいたかもしれません。

『「俺のイタリアン」を生んだ男』の「俺のイタリアン」に反応した人がいるかもしれません。これも立ち食いのフランス料理ということで行列ができているお店で、テレビや雑誌にもたくさん取り上げられていますから。

『ひきこもれ』というタイトルに、「何を言っているんだ?」と反発や興味を持った人もいるでしょう。今は「ひきこもり」が社会問題になっており、どうやって「ひきこもり」を解決するかが議論されているわけですから。

このように本とあなたの間で起こっている反応。これこそが読書です。

読書とはダウンロードではありません

「え? これが読書ですか?」とそれこそ大きな驚き、反応が起こっているかもしれません。多くの人は読書といえば、本から読み手に情報を取り入れる、いわばダウンロードのようにとらえているからです。

しかし、実際にはパソコンで行っているようなダウンロードと読書とは似て全く非なるものです。いわば、読書とは本と読み手との間で起こる共鳴現象であり、本と読み手とのコラボレーション(協働作業)なのです。

そして、コラボレーションですから、読み手のほうのかかわりぐあいで、読書は貧しいものになり、読書も進んでいきません。速読ももちろんできません。では、読み手のかかわりとはなにかというと、それは「問い」です。

「ビリギャルが合格した秘密は何だろう?」

「俺のイタリアンはどうやって生まれたのだろう?」

など、タイトルに反応していろいろな問いが生まれてくるはずです。その問いは読み手が持っている経験や知識、関心によって違ってきますが、この問いが読書のエンジンとなり、速読にもつながってくるのです。

なお、本のタイトルは読み手の興味を引くことが大きな目的だったりするので、本の具体的な内容については本のサブタイトルが表している場合が多くなっています。

本のサブタイトルを読むと、またその本の内容がわかり、それにつれてあなたの反応、問いもより具体的になっていくでしょう。
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10冊のサブタイトルは以下のようになっています。

『町工場の娘』-主婦から社長になった2代目の10年戦争
『「俺のイタリアン」を生んだ男』-「異能の起業家」坂本孝の経営哲学
『経営者格差』-会社がワーキングプアを助長する
『世界の働き方を変えよう』-クラウドソーシングが生み出す新しいワークスタイル
『学園ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』
『マネジメント[エッセンシャル版] 』-基本と原則(ドラッカー)
『仕事が楽しくなる!25のルール』-学校も上司も教えてくれない働き方の黄金法則
『パンツを脱ぐ勇気』-世界一“熱い”ハーバードMBA留学記
『ひきこもれ』-ひとりの時間をもつということ(吉本隆明)
『したたかな生命』-進化・生存のカギを握るロバストネスとは何か

こうやってサブタイトルを改めて読んでみると、「ああ、こういう本なんだ」ということがおぼろげながら見えてくるでしょう。そして、今回の場合は10冊一度に読んでいますから、本同士が勝手に反応し、結び付いてきて、あなたが分類したくなるかもしれません。

”わかる”は”わける”ことから始まる

たとえば、ビジネス系とそれ以外でわけたくなるかもしれません。

ビジネス系として

『町工場の娘』-主婦から社長になった2代目の10年戦争
『「俺のイタリアン」を生んだ男』-「異能の起業家」坂本孝の経営哲学
『経営者格差』-会社がワーキングプアを助長する
『世界の働き方を変えよう』-クラウドソーシングが生み出す新しいワークスタイル
『仕事が楽しくなる!25のルール』-学校も上司も教えてくれない働き方の黄金法則

ビジネス系以外として

『学園ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』
『パンツを脱ぐ勇気』-世界一“熱い”ハーバードMBA留学記
『ひきこもれ』-ひとりの時間をもつということ(吉本隆明)
『したたかな生命』-進化・生存のカギを握るロバストネスとは何か

これ以外にも物語・読み物系と評論・理論系というようにわけられるかもしれません。

そして、こうやって少しでもわけることで、少し整理がついて楽になった感じがあるのではないでしょうか?

「わかる」は「わける」ことから始まります。この「わける」は今行ったように似たものと違うもの同士で「わける」だけでなく、もう一つ「わける」があります。

それは大きなものを細かく小さなものに「わける」ことです。次はこれを行っていきます。そのために活用できる本に欠かせないもの、それが目次です。

読書は目次に始まり、目次に終わる

私の速読法では、タイトル・サブタイトルを読んだら、次は目次を読んでいきます。まえがき・はじめにがある本も多いですが、そこは飛ばしてまずは目次に飛んで、目次を何度も何度も読みます。

「さっさと本文を読まないと時間がかかって速読にならないのでは?」

そう思うかもしれませんが、ここで焦ってはいけません。もちろん、読みたければどんどん読んでもいいですが、その場合でも止まったり迷ったりしたときは、すかさず目次に戻りましょう。

(なお、小説の場合は目次の果たす役割はあまり重要ではないので、この限りではありません。)

では、なぜ目次か? ですが、まずは先ほども書きましたが「わける」ことにつながるからです。たとえば、『町工場の娘』-主婦から社長になった2代目の10年戦争の目次を見るとこうなっています。とりあえず章タイトルだけ挙げておきましょう。

・突然渡されたバトン
・手探りの会社再生
・私の仕事論

大きく3つにわかれました。これによって、少し「わかる」度合が強くなったのではないでしょうか?

サブタイトルの「主婦から社長になった2代目の10年戦争」のメインは第2章ですね。その前段が第1章、そして経験をまとめて少し抽象的なものにまとめたのが第3章でしょうか。

こうやってわけることで、そしてまた具体的な言葉が入ってくることで、読み手の反応もまた起こり、問いも新たに生まれたり、具体的な問いに変わってきます。

たとえば、ここではメインの第2章に焦点があたり、「どうやって会社再生したのだろう?」という問いが生まれるかもしれません。

この本では第2章のみがさらに3つの節にわかれています。その節タイトルを挙げると……

・生き残りのための「3年の改革」
・体当たりの「人材育成」
・明日のための「フロンティア開拓」

また3つにわかれることで、よりわかる度合が強くなったでしょう。そして、「3年の改革って何をしたのだろう?」「人材育成のポイントは?」「フロンティア開拓では何をどのようにしたのだろう?」と問いが生まれるかもしれません。

そしてその問いに応える形で、さらに小見出しがでて、本文が展開されているのです。ここでは1の生き残りのための「3年の改革」のところの小見出しを一部ですが挙げておきましょう。

「半年で結果出す」と啖呵/超精密加工技術が最大の武器/就任1週間で5人をリストラ/挨拶、5Sで意識改革/「悪口会議」が改善の突破口に……

速読にとって大事なこと=「センス・オブ・ワンダー」

いかがでしょう? 「生き残りのための「3年の改革」って何だろう?」という問いを持っていると、小見出しの言葉がさらに強く反応してくるでしょう。

たとえば、「え? 1週間で5人リストラって、そんなことしていいの?」とか、「5Sって何のことだろう?」とか、「悪口会議? 今ならほめることが大事なんて言われているけれど、悪口会議なんてしていいの?」なんていう反応が生まれた人がいるかもしれません。

このように本に対して、読み手がいろいろな反応を起こし、そこから本の内容や著者に対する問いが生まれて、興味がどんどん強まり、その本に取り組み、受け止める器ができてくるのです。

これが遠回りのようで、実は速読していくための大事なプロセスとなります。

「急がば回れ」なのです。

そして、もうお気づきかもしれませんが、読み手の中に反応が起きたり、問いが生まれなければ、本に対する興味は出てきませんし、読書へのエネルギーが高まりません。もちろん、それでは速読できません。

たとえ、ページを速くめくったり、眼を速く動かすことはできたとしても、全く中身の伴わないものになるのです。逆に、強い反応が起こり、問いが生まれていけば、どんどん読書は進んでいきます。そして速読も可能になってくるのです。

速読には確かに「速読技術」も必要ですし、とても役に立ちます。これについてはまたおいおいご紹介していきますが、それは速読を可能にする一要素に過ぎません。それよりも重要な要素は、第1回目で少しお話しした「ストック」、読み手が持つ知識や経験、記憶です。そして、さらに重要なのが、本に触れたときに読み手の中に強い反応を起こし、問いが生まれることです。これを可能にするのが、読み手の持つ「好奇心」、より的確な言葉でいうと「センス・オブ・ワンダー」、つまり「驚き」を持った心です。

「え? それどういうこと?」「え! そうなの?」と無邪気に驚き、対象に対して純粋な興味を持つ感性です。

「知っているつもり」「わかったつもり」にならない

これは逆の状態を想像してもらうとよくわかってもらえます。逆の状態とは、「ああ、そのことね」「知ってる、知ってる」「どこかで聞いたことがあるよ」というように、「知っている」「わかっている」と思う状態です。

もちろん、実際に知っていること、わかっていることはあるでしょう。そして、それが本を理解し、近づいていくための大事な要素になるのは事実です。しかし、それによって、「知っているつもり」「わかっているつもり」になると、そこで驚きの心が閉じてしまい、好奇心も閉じてしまうのです。

なので、「センス・オブ・ワンダー」を持つ、開くためには、この自分自身の中で起こる「知っているつもり」「わかっているつもり」を自覚し、そこから「もしかして知らないかもしれない」「わかっていないかもしれない」という立場に立ち続けることが重要になります。

これは、心理学の世界では「Not knowing」、日本語でいうと「無知の姿勢」といった言葉で語られるものですが、とても大事なあり方になります。

いきなり、速読の核心に入っていってしまいましたが、速読を単なる飛ばし読みやさっさと情報を片づけるスキルというふうにとらえている人も多いので、伝えさせてもらいました。

まだ、ピンとこなくても大丈夫です。これから、実際にこれからさらに私が本を読むプロセスや書評をお届けしますし、それも参考にあなた自身が実際に速読を行うなかでわかってもらえるでしょう。

 


 

それでは、次回はいよいよ、私が10冊を速読して感じた感想をお伝えしていきましょう。

(次回へ続く)

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速読勉強術、仕事のミスをなくすビジネススキルに関する講演、研修などができる宇都出 雅巳トレスペクト教育研究所代表 宇都出 雅巳 講師のプロフィールはこちら

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