究極のチームづくり-チームで道は開けるか-『ゴールを設定する』後編

中竹 竜二

「ゴールが明らかになっていないチームに、決して栄光は訪れない」。

それが、監督として早大ラグビー部、U20日本代表を率いる中竹竜二氏の結論だ。チーム力を高めるためにリーダーは何をすべきか、その哲学を語っていただいた。

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※コラム前編はコチラ

リーダーの役割と、チームに所属する意義を再確認しよう

中竹氏は早大ラグビー部に、「勝利」というゴールを設定した。その上で、監督としての自分が果たすべき役割を明確化したという。

「勝利という目的の前では、部員からの尊敬や監督としての面子などはどうでもいいことでした。もし全選手が私を馬鹿にしても、『こんなダメ監督に頼ってはいられない。自らの力で強くなろう』という気持ちが高まり、その結果チームが勝てば、全く問題ないと考えていたのです。私の役割は、選手をやる気にさせたり、彼らをうまく支えたりしながらチームを勝たせることだと再定義しました」

さらに手をつけていったのが、部員たちがラグビー部に所属している意味を問い直すことだった。

「当時のラグビー部には、百数十人の選手が所属していました。1軍で試合に出られるメンバーは、比較的モチベーションを保ちやすい環境だと言えます。しかし、3軍、4軍の中には、ラグビー部に所属している意味が希薄になっているものもいました。特に、最終学年の4年生になっても1軍に上がれないメンバーは、憂鬱とした感情を抱えがちです。そこで私は、彼ら一人ひとりに『君には価値がある。そしてこのチームに貢献できる』と伝え、気持ちに火をつけていきました。

企業で人を育成する場合でも、『メンバーがその組織にいる意味』を問い直すことは重要です。たまたまその会社・部署に在籍している、給料をもらうために働いているという意識では、従業員のモチベーションが上がるはずもありません。一方、その企業の存在意義や社会的貢献度、そして、その中でメンバーが果たせる役割を示してやれば、自然にやる気はでるのです」

チームのゴール。そこで果たすべきリーダーの役割。そして、各メンバーがチームに所属している意味。この3つを再定義することがチーム作りの基本だ。

「3つの要素は、それぞれつながっています。そして、社会環境や顧客ニーズの変化に応じ、常に修正していかなければなりません。このサイクルをグルグルと回し続けることが、チーム力を高めていくのです。」

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対話を通じて各自の自分らしさを引き出し、組織の底力を高める

選手だけでも百数十人。コーチ、マネジャー、OBなどを含めると、早大ラグビー部は二百人以上が関わる大組織だった。一人ひとりと対話するだけでは、組織全体の変革まで時間がかかる。そこで中竹氏は、キーマンを選抜して徹底的なリーダートレーニングを行った。

チームには、『彼が言うならついていこう』と周囲に思わせる選手がいる。彼らにリーダー役を果たさせれば、組織の変革は劇的にスピードアップできるのだという。

「選手の中から20人を選抜し、ホテルで3日間缶詰にしてリーダーの心得をたたき込みました。当時こんな試みをした前例はなく、周囲は大反対。でも、研修が終わってリーダーたちが戻ると、チームの雰囲気はがらりとかわりましたね。選手たちもそれを敏感に察知し、『あの監督、なかなかやるな』と評価するようになったのです。」

キーマンを選ぶ際には、選手としての実力より個性を重視した。

「主将らに熱血タイプばかりが揃っていたら、斜に構えたような冷静なタイプをわざと組み合わせたりします。すると意外な化学反応を起こしてチーム力アップにつながるんですよ。メンバーを枠にはめ、個性を殺してはダメ。彼らの『自分らしさ』を最大限伸ばし、のびのびとチャレンジさせる方がチームのエネルギーは高まるものです」

各自の個性を見出し、伸ばすためには、個人面談が最適だ。中竹氏は全選手・マネジャーなどに対し、年間を通じて面談を実施していた。

「ここでも大切なのは、面談のゴールをきちんと決めておくことです。私は1ヶ月前から面談のテーマを伝え、『自分のプレイスタイル』『昨シーズンより成長した部分』『ラグビー部に所属している意味』といったその都度変わる質問について考えてせていました。また、次々回の面談日程・テーマについても、早い段階で示していたのです」

今は、コーチング・ティーチングについての話題が花盛りだ。もちろん、こうしたスキルは重要だと中竹氏も考えている。しかしそれは、人を育てるというゴールが明確であってこそ、初めて意味を持つのである。

「1年後、この選手をどこまで育てたいのか。チームに対してどんな貢献をしてもらいたいのか。そうしたゴールが明確になって、初めて面談計画は立てられます。場当たり的に雑談をするのではなく、きちんとした計画に則ってメンバーとの対話を行うこと。そして、各自の個性や自主性を引き出すこと。それが、組織全体の底力アップにつながるのではないでしょうか」

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(※本記事は、2015年1月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

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