澤口俊之【第2回】日本人に多い「アンガーイン」型 – 怒りとの正しい付き合い方 ~アンガーマネジメントが組織を導く~

澤口俊之 怒りとの正しい付き合い方 ~アンガーマネジメントが組織を導く~

怒りを避けずに、前に進む原動力とせよ!

怒りには2つの現れ方がある。1つ目は、言葉などによって外部に吐き出す「アンガーアウト」。もう1つは、怒りを自分の中にため込む「アンガーイン」。

一般に、「怒り」は良くない感情だと捉えられている。しかし、怒りにはポジティブな側面もあるのだ。では、どうしたら怒りを前向きな力に変えることができるのだろうか?
認知神経科学や霊長類学の研究を手がけ、メディアなどでも大活躍中の脳科学者である澤口俊之氏に、怒りのメカニズムと、上手な付き合い方をうかがった。

白谷輝英 ≫ 文 櫻井健司 ≫ 写真

(※本記事は、2016年10月1日発行のノビテクマガジンに掲載された記事を再構成しました。)

日本人に多い「アンガーイン」型

澤口俊之 ”怒りをギリギリまでため込むより、適度に放出する方がいいのです”

ところで、怒りには2つの現れ方があります。1つ目は、言葉などによって外部に吐き出す「アンガーアウト」。もう1つは、怒りを自分の中にため込む「アンガーイン」です。一般に、日本人にはアンガーインタイプが多いと言われています。

しかし、怒りは適度に外に出す方がいいのです。怒りをため込んでいるのに外面はニコニコしているような人は、ある日突然、手の付けられないほど爆発することがあります。それより、アンガーアウト型の道を選ぶ方がいい。そして、怒りのエネルギーを少しずつ放出しながら、何らかの方法でストレスを解消する方が、ずっと健全だと思います。

怒りの感情は一般的に、悪い存在として捉えられがちです。特に日本人は、「人前で怒るのはいけない・みっともない」と考えてしまいがちです。

確かに、怒ってばかりいると健康に悪影響が出ます。例えば、怒りが湧くと、体内でコルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌されます。コルチゾールは身体に欠かせない物質ですが、分泌量が増えすぎると血圧上昇や免疫機能の低下などをもたらします。さらに、脳の萎縮につながることも、最近の研究で分かってきました。

また、怒ることでトラブルを起こし、社会的な不利益を被る危険性もあります。皆さんも、怒ってばかりいる人とは、あまり友達になりたくないですよね(笑)。

ただ、怒りはマイナスの効果しかないかというと、それは違います。怒りには、前向きな面も大いにあるのです。

既に説明したように、動物が危機に直面した場合、恐れや怒りに似た反応を引き起こします。それにより、筋肉が動きやすくなって逃げ足が速まったり、思わぬ力を出せたりするのです。つまり怒りは、現実に適応するために不可欠な感情なのです。

人についても、同じことが言えます。怒りは、現実を変革するパワーに変えることができるのです。例えば「義憤」という感情は、その代表格でしょう。他人が置かれた状況に憤慨して怒りの炎を燃やすことは、人を助けたい、社会のために役立ちたいという想いの原動力になります。

若者は、どんどん怒った方がいい。感情を爆発させることが、前頭前野を鍛えることにもつながるのです。いや、大人もある程度は怒るべきですね。もちろん、個人的でつまらない怒りは抑えなければなりませんが、義憤のような社会性のある怒りは、いつまでも持っておきたいものです。

怒りを抱えた部下には聞き役に回って受け止める

澤口俊之 怒りとの正しい付き合い方 ~アンガーマネジメントが組織を導く~

もし、部下などがあなたに怒りをぶつけてきたら、まずはその言い分や想いをきちんと聞いてあげましょう。部下を怒鳴りつけ、その怒りを力でねじ伏せるのは論外。アンガーインになってしまい、怒りの火種はいつまでも心の中にくすぶってしまうでしょう。

そして部下の気持ちに寄り添いながら、言いたいことを全て吐き出させます。その上で、伝えるべき点があれば、相手の状況に合わせて助言を行いましょう。あるいは、飲み会などで愚痴を言わせるのもいいですね。普段からストレスをため込ませず、小出しにさせることが大切です。

アンガーアウト型で表情や言動に表れやすい部下であれば、怒りを抱えているかどうかは見分けやすいものです。一方、アンガーイン型の部下は、心理的な危機に陥っていてもなかなか把握できません。その場合は、部下の最近の買い物事情について聞いてみるといいでしょう。怒りを抱えている人は、衝動買いをしがちだというのは科学的に証明されています。大きな買い物を繰り返している部下は、一種の注意信号を出しているのです。

怒りは、どんな人でも持っている感情です。それは、負の側面だけではありません。時として、前向きなエネルギーに変えることもできるのです。上手に付き合い、きちんとコントロールすること。そうすれば、自分の行動を変えたり、部下を育成したりする際に大いに役立てられるでしょう。

澤口俊之 怒りとの正しい付き合い方 ~アンガーマネジメントが組織を導く~(了)

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