時代を築いたリーダ達
~歴史から紐解く、プロフェッショナルの本質~【第4回】上杉鷹山<後編>

岡田 晃

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2015年11月25日

新聞・テレビ・講演をつうじて、様々なニュースを伝え解説している岡田晃先生が、経済評論家という立場から歴史と現代を結びつけて、その時代を牽引してきたリーダー達にスポットをあてて語る連載インタビュー企画です。

 

インタビュアー

Y・Yatsunami

 

前回のコラムはコチラ⇒【前編】http://www.nobetech-mag.jp/?p=1780

 

 

八波:上杉鷹山が行った改革について、具体的に教えてください。

 

岡田:お伝えしたいことはたくさんあるのですが、危機管理の素晴らしさをお話しましょう。

鷹山は、飢饉や不作に備えコメの備蓄を徹底させ、数多くの備蓄庫を建設しました。

各家庭の庭や生け垣には、食用となる植物を植えることを奨励しました。

食糧に対する危機管理です。しかも、鷹山は、食用植物の保存法、調理法(レシピ)を書いた

冊子を農民でも読めるようにひらがなで作り、配布するという工夫も行いました。

その結果、東北を中心に何百万人もの餓死者が出たといわれる天明の大飢饉で、米沢藩は

餓死者がゼロでした。

 

八波:スゴイ発想力と実行力ですね。究極の危機管理ですね。

 

岡田:この”財政再建”と”成長戦略”、それに ”危機管理”を私は、「江戸時代版・三本の矢」と呼んで

います。

しかも、鷹山は一切の増税はしませんでした。

こうした「3本の矢」の結果、それまでは減っていた人口が増えました。

鷹山が実行した一連の改革は藩の財政再建と経済活性化という成果を上げましたが、

これは地方創生のヒントにもなると言えるでしょう。

鷹山が藩主になった際に詠んだ歌があります。

「受け継ぎて 国の司の身となれば 忘れまじきは 民の父母」

藩主は、庶民の父であり母であるという意味です。

当時の藩主、トップに就く人間には絶対にない発想ですよね。

また鷹山が隠居したときに次の藩主・治広に送った「伝国の辞」という言葉があります。

少し長くなりますが、紹介しましょう。

 

一.国家は先祖より子孫に伝へ候国家にして、我私すべき物には之なく候

⇒これは、国家(=藩)のことは先祖から子孫へと受け継いできたものであって、

 藩主のものではない、という意味です。

一.人民は国家に属したる人民にて、我私すべき物には之なく候

⇒領民は藩に属している者であって藩主の家来ではない、自分勝手に扱ってはならない。

一.国家人民の為に立ちたる君にて、君の為に立ちたる国家人民には之なく候

⇒藩と領民の為に藩主になったのであって、藩主のために藩や領民があるのではない。

 

なんだかリンカーンの有名な「人民の・・・」を連想させますね。

江戸時代の殿様がこのような民主主義的な考えを持っていたというのは驚きです。

 

八波:確かにお殿様の歌や言葉とは、思えないですね。鷹山はそのほかにも名言を残していますね。

 

岡田「”三助の訓え”・自助・互助・扶助」というのもありますね。

自助とは、自ら己を助ける。

互助とは、近隣社会がお互いに助け合う。

扶助とは、それでも足りないものを藩が助ける。

鷹山は、このメッセージを発信し続け、実践していくのです。今でいう企業ポリシー、

経営理念を発信し続け、組織の団結を醸成していたのです。

これはまた、高齢化が進む日本の福祉のあり方にとっても参考になるのではないでしょうか。

「なせばなる なさねばならぬ何事も ならぬは人の なさぬなりけり」

こちらは有名な言葉ですよね。

一見、精神論のように思えますが、危機を乗り越える際のリーダーへの教えであり

訓示のようなものと私は捉えています。

ジョン・F・ケネディが大統領に就任した時に、日本人の記者が「日本人で尊敬する人は

いるか?」という質問をした際に、

ケネディは、「上杉鷹山」と答えたといいます。その記者は、上杉鷹山を知らなかった

そうですが、ケネディは鷹山のそういったリーダーとしての教えや、政治に対する根本的な

考え方を評価していたのでしょう。

 

八波:鷹山は、国を超えて評価されていたのですね。

 

岡田:実は、戦前までは、学校教育で鷹山の功績を教えていたのですが、戦後教育では

「なせばなる なさねばならぬ何事も ならぬは人の なさぬなりけり」などの言葉が

軍国主義的なイメージがあるという解釈や、戦前の道徳教育を全面否定していた時代背景も

あり、現在では鷹山のことを知っている人は少なくなってしまいました。

しかしこれまで見てきたように、鷹山はリーダーの見本のような人ですし、

今日の日本経済にとっても企業経営にとっても、数多くの教訓を残してくれています。

もっと多くの人に鷹山のことを知ってもらいたいですね。

 

八波:上杉鷹山をとおして岡田先生が考えられる、プロフェッショナルの本質とはなんでしょうか?

 

岡田:この3つでいかがでしょうか。

1.自ら率先して行う”実行力”と”発信力”

2.トップダウン型とボトムダウン型を上手に活用するマネジメント能力

3.ぶれない理念と考え

 

 

【後編で使用】_湯殿山総本寺 瀧水寺大日坊

ありがとうございました。

上杉鷹山という人物のことは、あまり深く知る機会がなく、偉人の中でも目立たないイメージでした。

ところが、鷹山という人物を知れば知る程、歴史上まれにみないリーダーであることがわかりました。

当時の常識や慣例に疑問を持ち冷静に見つめ直し、改善をして組織を正しい方向に

変えていくことは、よほど「藩を守ろう!」という強い志がなければ、成し遂げられなかったと思います。

時代に関係なく、“リーダーとしてのあるべき姿”を知ることができました。

 

次回は、来年の大河ドラマでも話題の「真田幸村」について、お聞きしたいと思います。
幸村の「窮地の中での決断力」や「権力に抗いながらのマネジメント力」を掘り出していければと考えております。お楽しみに!!

 

 

 

 

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