堤康之【第2回】相続税対策って必要? – 公認会計士が書く!ついつい誰かに話したくなるお金のこと

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堤 康之

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2015年01月30日

そろそろ相続税のことを本気で考えてみた!

2015年に改正相続税法が施行され、相続税が大幅に増税されました。
相続税が発生するのは、実際に亡くなった人のうちおおよそ4%程度であったのものが、今後は倍増するという試算もあります。
我々公認会計士や税理士などの専門家の間でも相続の仕事が大幅に増えるのでは?とにわかに盛り上がっています。

さあ、大変だ!相続税を少なくするために早速対策をたてなければ~!ってそれ本当!?

今回改正された主要な点は、相続税の基礎控除の割合が6割に縮小されたというものです。
相続税は亡くなった人(被相続人)の財産まるまるに対してかかるわけではなく、亡くなった人のプラスの財産からマイナスの財産を引いた正味財産から、『基礎控除額』を引いた財産の額に対してかかります。
よって、『基礎控除額』を超えない限り、相続税はかかることはありません。
さて、もしあなたが亡くなった場合の『基礎控除額』はいくらなのでしょうか?

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さっそく相続税の試算をしてみよう!

仮にあなたが2億円の財産を持っていて、妻と子供2人と暮らしていて、突如亡くなってしまったとします(「突如亡くなる」は考えたくはないですが、「2億円持っていて」は憧れますね!)。

従来であれば2億円から『基礎控除額』である
5,000万円+(1,000万円×3 「法定相続人は妻と子供2人」)=8,000万円
を引いた1億2,000万円に対して相続税がかかっていました。

今回の改正で2億円から『基礎控除額』である
3,000万円+(600万円×3 「法定相続人は妻と子供2人」)=4,800万円
を引いた1億5,200万円に対して相続税がかかるようになります。

『基礎控除額』の縮小により税金のかかる相続財産が、1億2,000万円から1億5,200万円へと大幅にUPです。

相続税の額はどのくらいの違う?

さて、相続税の額にするといったいどのくらいの違いになるのでしょうか?
実際の相続税の算出には少し複雑な計算を必要とし、相続人の間で財産の按分(あんぶん)割合などによっても最終的にかかる相続税の総額は変わってきます。

ここでは、法定相続分(法律で定められた按分割合「妻が1/2、兄が1/4、弟が1/4を相続」)により妻と子供2人に相続を行った場合の相続税の総額を計算してみます。

従来であれば、2億円-8,000万円=1億2,000万円を対象に

souzokuzei2

※妻の相続税は、配偶者の税額軽減により、
法定相続分もしくは1億6,000万円の範囲であればかからないので0円

改正後では、2億円-4,800万円=1億5,200万円を対象に

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※妻の相続税は、配偶者の税額軽減により、
法定相続分もしくは1億6,000万円の範囲であればかからないので0円

相続税の計算方法(東京税理士会)
http://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/souzoku/

やはり支払う相続税が多くなる!

これは大変だ!支払う相続税が合計で320万円(※560万円-400万円が2人分)も
多くなっている!早速対策を!
いったいどんな対策があるのでしょうか?

1.贈与(年間110万円までは無税)により亡くなる前に相続財産を減らしておく
2.生命保険を活用する(保険をうまく使って相続税を減らすことができます)
3.金融資産を不動産に替えることで相続財産の評価を下げる
4.更地はアパートなどを建てて相続財産の評価を下げる
5.養子縁組を活用して相続人を増やし、相続税を減らす

などなど、一般的なものから資産家に向けたものまで、数々の相続税対策があります。
でも、では一体どこまでする必要があるのでしょうか?

人がいつ亡くなるか、また家族がどういう順番で亡くなるかは誰にも予想はできません。相続税対策は、こういう順番でこの時期に亡くなったらとの仮定のもと(当然ある程度合理的な想定のもと行います)、子や孫に財産を残していく過程で、どうすれば税金上お得になるかを計算し対策を行うものです。

この事例にあげたように、もしあなたが資産2億円を持っていて(くどいけど憧れますね!)、今まで相続対策なんて何も考えてこなかったのならば、上記の1.と2.くらいの対策は考えたほうが良いでしょう。

それにより相続税の総額を増税前のレベルまで下げることは十分可能ですし、内容も手続も簡単なので少し勉強すれば出来てしまいます。

まだまだ相続税対策が必要なのは一部の人で、残すことより稼ぐことを第一に考える!

今回の相続税の増税があっても、それなりの資産家でない限りは、あまりドラスティックな節税対策まで行う必要ないというのが本当のところでしょう。

冒頭にも述べたように、今後も相続税を支払うことになる相続する案件はおそらく全体の10%未満、その中で相続対策により相続税を大幅に減らすことができるのはその内の数%というところでしょう(今回は都心にマイホームを所有している特別な資産家ではない人が、今まで問題にならなかったのに『基礎控除額』の減額によりひっかかってくる割合が増えるという点で厄介ではありますが)。

もしあなたがその数%に入っているのであれば、それはすばらしいことなので、子や孫に少しでも多くの財産を残していけるようさっそく専門家に相談をしましょう!

私も含め大多数のそれ以外の方は…
まだ親が健在であるならば「自分で稼いだお金なんだから死ぬまでに気持ちよく使っていいよ!(もちろん残ったら貰うけどね!)」と言える心の余裕を、

子供に対しては、「親の財産なんてあてにするなよ!(もちろんできるだけ残してあげるけどね!)」という厳しさ(優しさ)を当面の対策としていきましょう。

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