堤康之【第3回】相続税対策はまずここからやっていこう! – 公認会計士が書く!ついつい誰かに話したくなるお金のこと

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堤 康之

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2015年03月27日

『相続税対策』はまずここからやっていこう!

前回のコラム(「そろそろ相続税のことを本気で考えてみた!」)では、2015年から相続税の基礎控除額が以前の6割へと大幅に縮小され、相続税の増税がはかられたこと、それでも本格的な相続税対策が必要な人は、まだまだ少数派であることをお話ししました。

そうは言っても、先々どうなるか分からないし、相続対策がどんなものかもっと知っておきたい(親に勧めてみたい!又は、子供のために考えておきたい!)という人のために、具体的な相続対策の話をしましょう。

前回のモデルケース(妻と子供2人が相続人)の相続税の試算額をもう一度思い出してみましょう、相続税の額は下記でしたね。

★ 亡くなったご主人の財産の額が『 2億円 』
★ 基礎控除の額が『 4,800万円 』(※)
※3,000万円+(600万円×法定相続人3人 「妻と子供2人」)
★ 法定相続割合で相続をすると仮定(妻1/2、兄1/4、弟1/4)

相続税額を計算すると、2億円-4,800万円 =1億5,200万円の課税相続財産に対して、

相続財産の額

相続税の計算

税額

15,200×1/2=7,600万円

7,600×30%-700=1,580万円

※0円

15,200×1/4=3,800万円

3,800×20%-200= 560万円

560万円

15,200×1/4=3,800万円

3,800×20%-200= 560万円

560万円

※妻の相続税は、配偶者の税額軽減により、法定相続分もしくは課税価格が1億6,000万円の範囲であればかからないので0円

<相続税の計算方法(東京税理士会)>
http://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/souzoku/

この子供2人にかかる相続税1,120万円(560万円×2 )について、相続財産を減らさずに相続税だけを減らすのが相続税対策となり、代表的な方法に下記があります。

① 生命保険
② 贈与
③ 孫への教育資金贈与
④ 住宅取得資金の贈与

「 生命保険 」を相続に活用しよう!

まず①の生命保険ですが、生命保険には「まさかの時の残された家族に対する保証」として使用する以外に、『相続対策』として使われる生命保険があります。

相続人が受取る死亡保険金も、相続税の計算上は相続財産とみなされますが、相続税の非課税枠というものがあり、受取保険金の額のうち「500万円×法定相続人の数」が、基礎控除の額と同様に非課税となり、相続税の計算上相続財産から控除できます。

「一時払い終身保険」というタイプの保険ならば、全額を一度で払い込む必要がありますが、1,500万円の死亡保険金を受け取るのに1,500万円弱の払込で済んでしまいます。

通常の死亡保険のように、もしも死亡したら掛け金の何十倍もの保険金がでるものではなく、払い込んだ額がちょっとだけ増えて相続人に渡るだけですが、相続対策として使用すれば、非課税枠を使って課税対象となる相続財産を一気に減らすことができます。

実際に相続税の計算をしてみましょう。

★ 亡くなったご主人の財産の額が『 2億円 』(※)
※但し、うち1,500万円は生命保険金
★ 基礎控除の額が『 4,800万円
★ 生命保険金の控除の額が『 1,500万円 』(※)
※500万円×法定相続人3人

相続税額を計算すると、2億円-4,800万円-1,500万円 = 1億3,700万円の課税相続財産に対して、

相続財産の額

相続税の計算

税額

13,700×1/2=6,850万円

6,850×30%-700=1,355万円

※0円

13,700×1/4=3,425万円

3,425×20%-200= 485万円

485万円

13,700×1/4=3,425万円

3,425×20%-200= 485万円

485万円

※妻の相続税は、配偶者の税額軽減により、法定相続分もしくは課税価格が1億6,000万円の範囲であればかからないので0円

保険を活用することにより、子供2人にかかる相続税合計1,120万円が、相続財産を減らすことなく970万円(485万円×2)へ150万円も下げることができました。

「 暦年贈与 」を活用しよう!

次に②の贈与ですが、子供に対して贈与を行い、相続財産を圧縮するのも簡単で有効な手法です。贈与は、もらう人1人当たり年間110万円までは基礎控除の範囲内で贈与税がかかりません。
生前に2人の子供に毎年100万円の贈与を10年間続けていたとします。

★ 兄と弟に1,000万円「100万円×10年間 」の財産が移動し、相続財産2億円のうち2,000万円が、相続前に子に移転する。

相続税額を計算すると、1.8億-4,800万円 = 1億3,200万円の課税相続財産に対して、

相続財産の額

相続税の計算

税額

13,200×1/2 = 6,600万円

6,600×30%-700=1,280万円

※0円

13,200×1/2=6,600万円

3,300×20%-200=460万円

460万円

13,200×1/2=6,600万円

3,300×20%-200=460万円

460万円

※妻の相続税は、配偶者の税額軽減により、法定相続分もしくは課税価格が1億6,000万円の範囲であればかからないので0円

このように贈与を活用することにより、子供2人にかかる相続税合計1,120万円が、相続財産を減らすことなく920万円(460万円×2)へ200万円も下げることができました。

但し、実際に贈与を行う際には、贈与契約を毎年結ぶなどの幾つかの留意点があります。

「 教育資金贈与 」を活用しよう!

次に③の教育資金贈与です。孫の教育資金を1500万円まで一度に非課税で贈与できる新制度が2013年4月から始まり人気となっています。

孫がこれから使う教育資金を、おじいちゃん・おばあちゃんが信託銀行などの金融機関を通して信託し、孫が30歳になるまでに教育資金に限定して使う分に関しては、贈与税を非課税とする制度です。

孫を思う(むしろ孫から思われたい)おじいちゃん心・おばあちゃん心をくすぐり、ヒット商品となっていますが、実際に相続対策として考えるには、孫がいてまだ小さくこれから教育資金が多くかかるなど、当てはまるケースは限定的かも知れません。

ただ、意外と知られていないのが、もともと孫に通常必要と認められる教育費や生活費を必要な都度渡す場合は「都度贈与」といって贈与税はかかりません。

孫がまだ学生である場合「都度贈与」を使って、学費を払ってあげたり下宿代を支払ってあげるというのも、相続対策としては、相続税の対象となる資産を減らし、相続人である子供の支出を肩代わりする有効な方法です。しかも渡し方、伝え方によってはかわいい孫から感謝されるというおまけつきです。

「 住宅取得資金贈与 」を活用しよう!

最後の④は、③と同じような話ですが、子や孫の住宅取得のための資金の贈与も最大で1,500万円(平成27年度の贈与)までは贈与税が非課税となります(※但し、対象となる住宅については、広さなどの要件がつきます)。

当てはまる場面は限定的ですが、子供や孫が住宅の取得を考えていて、相続財産を減らしたいと考えている場合には、有効な手段となりえます。但し、子や孫が皆同じく住宅を取得するということもないでしょうから、後々に不公平感が残らないよう、十分注意をする必要があるでしょう。

以上みてきましたように、誰にも起こる相続という問題!今非常に盛り上がっている話題ですので、「親に勧めてみたい!」「子供のために考えておきたい!」などで一度真剣に向き合ってみたらいかがでしょうか。

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