西村佳隆【第4回】外から見えやすいイノベーション – イノベーションの天地人~普通の人による創造的イノベーション~

西村佳隆 イノベーションの天地人~普通の人による創造的イノベーション~

西村 佳隆

こんにちは、イノベーションの天地人の西村です。
前回から引き続き、【西村流 イノベーションの天地人】の3つめ

・人のイノベーション:普通の人の力による創造的イノベーション

について、今回も語ります。

前回は、

『外から見えやすいイノベーション』
…製品やサービスそのものについてのイノベーションで、わかりやすく、誰もが気づく内容なのでマネされやすい

『外から見えにくいイノベーション』
…製品やサービスを生み出す仕組みや生み出す組織などについてのイノベーションで、外部からはわかりにくく気づきにくいため、マネされにくく、長期にわたり独自性や強みを維持しやすい

というものがある、ということについて、説明をしました。

今回は『外から見えやすいイノベーション』について具体的に見ていきます。
製品やサービスそのもののイノベーションについてです。

奇抜なポテトチップ

製品について、私は最近とっても驚いたことがあります。先日お店で見かけたポテトチップスに、バナナ味、もも味、みかん味!という今までにない奇抜な味が並んでいたのです。発想がぶっ飛んでる!って思いました。

ノビテクマガジンビジネスタレント イノベーションの天地人

そんな商品が出ていること、みなさんはご存知でしたか?

バナナに関しては、バナナを薄く切って揚げた“バナナチップス”を子どもの頃に食べたことがあるので、そこまで違和感は持たなかったのですが、もも味って。。。ポテトなのにもも味、いったいどういうことなのか。とても好奇心がかきたてられました。

さてこの件ですが、ポテトチップスのこの奇抜な味のラインナップを、”おちゃらけ商品”と見るか?”視点の切り替え”と見るか?で面白さが全然違うと思います。

私も含めみなさんも”思い込み”がありませんでしたか?
「ポテチはおやつやツマミとして食べるものだ」って。

今回のこの奇抜な味は、なんと、ポテトチップスを朝食にどうぞ!!という提案なんだそうです。
お米、パン以外にも、グラノーラやパンケーキなどの新しい朝ごはんの形がでてきているので、朝ごはんの選択肢の一つとしてポテトチップスを!ということみたいです。

ポテトチップスが発売されて、きっと数十年になると思うのですが、誰もこのような視点の切り替え、発想の切り替えをしていなかったと思います。なので、今回のこの発想はスゴイ!と思いました。

視点を変えて見ることが重要

企業では、商品やサービスを次々と生み出しています。生み出せば生み出すほど、開発や広告宣伝費などの新たな投資コストがかかります。でも、それらの投資コストに見合うだけ売れるとはかぎりません。

新たな投資コストをかけずに、もしくは、最小限の新規投資コストで今ある商品やサービスの売上が上がることが理想ですよね。…そんな時にどうすればいいのか?そんな時は、視点を変えて見てみることがとても重要になるのです。

前回ふれた、

①今あるものを別視点で考えることにより、別の価値提案が出来ないか、考えてみる

です。

別視点で考えるを実践した例

さて、別視点で考える…を実践した、私の例といいますと…
二輪メーカー勤務時代のことです。担当市場の売上をより伸ばすために、どのような新商品を作ろうか、既存商品をどう改善していこうか、と考える商品企画部にいたときに、視点を切り替えることでうまくいった話があります。

あるバイクの商品企画担当になったときのことです。
その機種は、発売してから年月が経ち、もう既に売れなくなっていて、製造中止も検討されはじめていたものでした。バイクのタイプは、自転車でいうとマウンテンバイクのような、不整地(未舗装のでこぼこ道、“オフロード”と呼びます)を走るタイプのものです。

これを今よりもっと売れるようにするのには、どうすればいいとみなさん考えますか?

既存商品を今よりもっと売れるようにするには?

◯性能をアップさせる。
(馬力を上げる。でこぼこ道をよりうまく走れるようにする。快適に乗れるようにする。など)
◯販売価格を下げる。セールする。
◯もっとカッコ良くする。
◯買ってくれた人になにか特典をつけてあげる。

こういった“何をやるか”というのが、まず思い浮かぶのではないでしょうか?でも、そんな時こそ、色々な別視点を思いついてほしいのです。例えば、こんなアプローチです。

買う理由を考えてみる

『どんな人が買ってくれているんだろう』
『なぜ買ってくれているんだろう』

買う理由を考えてみる、というもの。買う理由のアプローチでは、着眼点が2つに分かれます。

ひとつは、買ってくれた大多数の人の理由。これをもっと伸ばすという方向。
もう一つは、買ってくれた少数の人の理由。少数だけど、この理由が世間に知れ渡るともしかしたら…と期待して、こちらを伸ばすという方向。

それとも、今ある欠点を直してゆく?
いろいろ考えられますね。

さて、私がこの時このバイクをもっと売れるようにするためにとった道は、このバイクをオフロードモデルとしてではなく、”ファッションとして魅せるようにする”ことでした。当時すごく流行っていた代官山や裏原宿の“ストリートファッション”に合わせて、このバイクをプロデュースし、“やんちゃな気持ち”を持つ人たちに、オシャレに乗ってもらうという狙いです。

コンセプトをお金をかけずに具体的に落とし込む

ストリートファッションという方向性で、オフロードバイクをプロデュースすると決めた後は、”どうやって?”ということが重要です。どうやれば、どこの仕様を変えたら思っている方向に近づけるのか。つまり“ストリートファッション”というコンセプトが決まったので、そこへの落とし込みです。仕様を変えるために、投資をどれだけするのか。

・ドカン!と投資をして新製品を作る
・大きな投資をし、大掛かりな仕様変更をする
・少ない投資で、少しの仕様変更をする

費用対効果で考え結論をだします。
私のときは、新規投資がほぼゼロの“車体色変更”で進めることにしました。“やんちゃな気持ち”に応える、ちょっとワルそうかつ、今までのバイクにはないようなオシャレな色で展開しました。

そして、発売。

これが実に、大当たりしました!

発売から年数が経ち、もう製造中止も考えられていた、売れないと思われていたバイクが、”金の成る木”に変貌したのです。最終的には売上が、製造中止を考えていた時の100倍くらいになりました。新規投資がほぼゼロなので、投資効率極大です!

このときのイノベーションのポイントは、“モノから世界観へ”というものでした。

他業界の常識を別業界で使った事例

商材の鮮度を維持・向上させるという視点での、車体色変更ではなく、車体色変更とその他の仕掛けによって、“ストリートファッションにぴったりなオシャレなモデル”に仕立てるという、“商材単体”の視点から、“ある世界観を演出し商材はその主要な構成要素と位置付ける”という戦略です。

ファッション業界では当たり前な手法ですね。そこからすると、他業界の常識を別業界で使った事例、ともいえます。

今回のまとめ

・お客さんが“買う理由”が、思い込みになっていませんか?
・お客さんが買ってくれる理由が、変わってきていませんか?また、そのような理由から、視点の切り替えを行っていますか?

イノベーションに多額の投資や長年の研究の積み重ねが、必ずしも必要なわけではありません。また、天才の発明が必要なわけでもありません。視点の切り替えが出来れば、私の例のように、“普通の人の力による創造的イノベーション”が生み出せるのです。

“視点の切り替え”を意識して訓練することで、より多くの新しいものを生み出せるようになります。私のこの視点の切り替えを促すノウハウを、体系化&ツール化して提供することもしていますので、興味がある方は、このコラム宛に問い合わせください。

 

それでは今回の【イノベーションの天地人】は、ここまでで。

続きの、2つ目の【イノベーションを生み出す組織についてと、3つ目の【社内の仕組みのイノベーションについてをお楽しみに!

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