【ノビテクマガジン再掲】イノベーションを起こすリーダー力~相馬のおんちゃま~

ノビテクマガジン編集部

〔特集〕特別編 なぜ、その“場”でなければならなかったのか

福島県 相馬市   株式会社先進食品   相馬のおんちゃま特設通販ページ

 

“おんちゃま”と親しみを込めて呼ばれる人がいる。相馬弁で「おじさん」の意味の愛称はボランティアで訪れた人に付けられ、いつのまにか定着したという。経営していた水産加工会社は東日本大震災で大きなダメージを受け、顧客からは「そこにいる限りもう取引できない」とまで言われた。おんちゃまこと高橋永真氏が、それでも相馬の魚を全国に発信し続ける思いとは。

 

上野昌枝≫インタビュー  村上杏菜≫文  櫻井健司≫写真

ゴム手袋に衛生帽、日に灼けた中年男性の笑顔が印象的な『相馬のおんちゃま特設通販ページ』。このECサイトでは福島県相馬産を中心とした季節の魚や貝類などの加工食品を販売。Facebookを利用した情報発信で全国から注文と注目を集めている。

 

福島県相馬市で生まれ育った高橋氏は、親戚の水産加工会社を経て『株式会社センシン食品』を起業。国内外の外食産業と億単位の取引をこなしていたが、東日本大震災で津波に襲われた。

「震災から一ヶ月経った頃、新潟の知り合いの家で久しぶりに魚を食べたんです。以前は当たり前にあった味に、美味しくて涙が出た。家族や仲間にも食べさせたかった」

 

これをきっかけに「俺は魚屋だ、何かしなくては」と一念発起。神社の一角を借り、格安の魚や支援物資を配布する『はらがま朝市』を始めた。「相馬の復興は『浜』からだ!」と行政も応援してくれ、仮設住宅への御用聞きを担うリヤカー行商活動にも取り組んだ。

「北海道や新潟へという誘いも正直たくさんありました。でも、家族と仲間のいる相馬が好きだったし、やっぱり相馬の旨い魚を扱いたかった」

 

onchama_001調理設備の乏しい仮設住宅の住人に向け、朝市クラブで加工場を設けて水産品を加工するようになった高橋氏。放射線や遺伝子組換えについて研究機関を訪れたり書籍を読んだりして勉強を続け、特殊な急速冷凍機や自主的な放射性物質検査、消毒方法を導入するなどし、安心・安全にこだわった。

「簡単・便利を優先した結果、現代の食卓には保存料や添加物漬けの“ウソモノ”がたくさん並んでいます。俺は、手間暇をかけた“ホンモノ”の味を届けたい」

 

 

このような朝市クラブの活動を約4年間続け、高橋氏の気持ちには変化が現れたという。

「このままでは自分と家族の生活は成り立たない。被災者の一員として、必要なのは自立だ」

 

相馬での漁業は試験操業を余儀なくされている。

高橋氏は新たなステージとしてビジネスを拡大するため、5月初旬から宮城県名取市閖上ゆりあげ ) に加工場を移転した。

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「これまで相馬は魚に恵まれていたなと改めて気が付きました。だけど生活のためには仕事がないと。俺は魚屋の仕事が好きだから、これでお金が稼げればそれが一番。商売をしてお金が生まれればそこに雇用も生まれる。新しい工場の借金を返さないといけないし、家も車も欲しいしね」

 

ただ、お金で全てはまかなえないと高橋氏は強調する。

「震災で車も携帯もコンビニもなくなって、生活が昔に戻ったようでした。物々交換を経験したことや仕事作りに臨んだことで、お金が全てではないこと、仕事の原点は“楽しさ”だと再確認しました。美味しくて安全な相馬の魚を提供して正当な労働報酬を得ることは、俺もお客様もみんなが幸せになること」

 

以前の取引先と再び商売ができる未来を目指して、おんちゃまは今日も工場に立つ。

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高橋永真(相馬のおんちゃま)

株式会社センシン食品 代表取締役

親戚の水産加工会社に25年勤務後、2007年独立し、水産加工会社

「センシン食品」を経営。東日本大震災による津波で被災後、

被災者支援のNPO法人「相馬はらがま朝市クラブ」理事長も務める。

おんちゃま(相馬弁でおじさん)の愛称は、受け入れをした

ボランティアにつけられたとのこと。現在、相馬の魚の発信に奮闘中。

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