中村義裕【第1回】日本語の乱れ(上) – 知ってるつもり?日本の伝統と文化~真の国際化は、自国の伝統と文化を知ることから始まる~

中村義裕 知ってるつもり?日本の伝統と文化~真の国化は、自国の伝統と文化を知ることから始まる~

知ってるつもり?日本の伝統と文化~真の国際化は、自国の伝統と文化を知ることから始まる~

「言葉が乱れている」という声は、ずいぶん前から耳にする。芝居の評論を仕事にしている関係上、特に台詞のアクセントが気になってはいたが、問題はそうしたことだけでは済まない広がりようだ。

グローバル人材育成にかかせない、リベラルアーツ。「知ってるつもり?日本の伝統と文化」と題し、中村義裕氏に日本の伝統と文化について語っていただくコラムです。

地球の規模がどんどん進み、国際化が激しくなる中、私の専門分野の「演劇・芸能」を40年近く勉強してきたが、それ意外の「日本」のことを、あまりに知らないことに気づいた。世界と対等に付き合うためには、母国の歴史の上にすっくと立ち、「日本はどんな国なのか」を我々が知らなくては、「真の国際(グローバル)化」は始まらない。

日本語の乱れ (上)

「言葉が乱れている」という声は、ずいぶん前から耳にする。芝居の評論を仕事にしている関係上、特に台詞のアクセントが気になってはいたが、問題はそうしたことだけでは済まない広がりようだ。

元来、「言葉は時代と共に変容する」ものであり、私は言葉が変わることは否定しない。実際に、今の我々に平安時代の言葉遣いで話されても、相手との会話は成立しないどころかほとんど分からないだろう。しかし、「変容する」ことと「乱れる」ことは違う、と私は考えており、問題はここにある。

かなり以前から問題になっていた「ら抜き言葉」。「食べられる」を「食べれる」、「来られる」を「来れる」という、例の奴だ。この現象がマスコミで問題視されるようになったのは、昭和60年代以降ではなかったか、と記憶している。

しかし、実のところを言えば、大正期にはすでに見られ、昭和30年代の小説などを読んでいると、時々「ら抜き言葉」に出っくわすことがある。これを「乱れ」と呼ぶべきか「時代に伴う変化」と考えるべきか、専門の学者でも判断が難しいところだろう。

私が気になるのは、こうしたことどもを含めてだが、個別の問題よりも、今の我々が言葉を「ぞんざい」に扱ってはいないか、という心根の問題だ。語感、つまり耳障りの良くない言葉「うぜぇ」、「~だし?」という言葉が、立派な社会人にも臆面もなく広がること自体、問題があるのではないか。我々が日本語の美しさや豊かな味わいを認識せずに、母国語でありながら愛しもうとしないということは非常に悲しい。

古い例になるが、明治から昭和の初期にかけて活躍をした人気作家・泉鏡花(1873~1939)は、弟子に文字を教えるのに、畳の上に指でその形を書き、その後で消す仕草をしたと言う。それほどに「文字」や「言葉」を大切にしていた、ということだ。

実践はしなくとも、この感覚が理解できるかどうか、という辺りで、「ことば」というものに関する感覚がある程度は分かるのではないだろうか。

「言葉が乱れている」というのは、「今の若い奴は…」と同じほどに古くから言われていたことで、平安時代にはすでにそうした記録がある。ここで、「それじゃ、仕方がない」と時代に流されるのか、「日本語を大切にしろっ!」と頑固おやじぶりを発揮するのか。私は、もう少し後者で頑張ってみよう、と考えている。

その言い分はまた次回。

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